COZUCHIの新ファンドは渋谷の店舗ですね。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、渋谷といえば複数の再開発で大規模な商業・業務ビルの建設が続いている日本屈指の商業地です。
不動産マーケットから見ても「都心商業エリア」としては新宿と並ぶ有名エリアですね。
再開発は渋谷駅前のみならず、その外縁部でもオフィスや商業施設、ホテルなどの開発がガンガン行われてますので、しばらく渋谷に行かないと「あれ?こんなビルあったっけ?」となるかもしれません(笑)
センター街でIKEAの開業やアスビーやイッツデモの閉店などありましたし、個人的にも注目しています。
今回の対象不動産は渋谷のちょっと奥にある神泉エリアです。COZUCHIの説明でも「奥渋谷に広がるグルメの街 神泉エリア」とある隠れ家的なスポットですね。
前置きはこの辺にして、そろそろ内容を深掘りしていきたいと思います。
もしご興味がありましたら、どうぞお付き合いください。
COZUCHI「渋谷区神泉エリア区分店舗」
- 募集金額:1億2690万円
- 期待利回り:6.0%(年利)
- 運用期間:24ヶ月
- 劣後割合:10%
- 募集開始:2021年10月4日19時~10月11日13時
- 販売・運得:LAETOLI
なるほど~。
このところCOZUCHIは抽選が高倍率になりますが、募集金額は1億円越えの大口案件ですし、利回りも抑えめですから、本ファンドは幾分か当選しやすいかもしれませんね。
期待利回り(本ブログでは鑑定の正式名称を用いて、期待利回りと呼ぶことにします)は6.0%。この6%の内訳は「インカムゲイン4.5%+キャピタルゲイン1.5% 」で、いわゆるIRRと概ね同義です。
「インカムゲインとキャピタルゲインの利回りって何だっけ?」
「というかIRRって何だっけ?」
という方は、こちらの記事で解説してますので参考にしてみてくださいませ。
【関連記事】【IRR?DCF?】今さら聞けないSOLMINAの仕組み
【関連記事】【今さら聞けない】インカムゲインとキャピタルゲインの利回りの仕組み
期間は24ヶ月と比較的長期。販売・運営はLAETOLIとなっています。
※2021年8月1日に株式会社SATASが「LAETOLI株式会社(ラエトリ)」に社名変更され、経営陣も刷新されました。
取得から募集までの背景
本ファンドの特徴として、COZUCHIさんによれば「コロナ渦に割安で取得し、バリューアップすることで高利回りを実現した」とあります。
詳しくはCOZUCHIで説明されているのでご確認いただければと思いますが、LAETORIの中の人にもお聞きした内容をかいつまんで書くと、
- コロナ渦で空室となり前オーナーが安く売り出していた物件を
- 立地が良く潜在的な収益性があると判断したLAETOLIさんが購入
- バリューアップで空室を埋めかつ賃料上昇させて利回りを改善させ
- 現況は表面利回り10%で運用中の物件を保守的に6%で募集する
という内容です。築古の表面利回りとはいえ、確かに渋谷駅から徒歩圏で10%はなかなかないと思います。
また中の人のお話では、
- 1.5%のキャピタルゲインは表面利回り8.6%で売却した場合の利回りで
- 渋谷かつ供給が限られる本立地なら売却利回り6%台までいける可能性あり
とのことでした。
COZUCHIのマーケット情報の取引利回りを拝見してみても、店舗系なら5~6%台が多く見られます。確かに売却利回り8.6%は僕も高いと思うので、キャピタルゲインの上振れの可能性もあるのかなと思いました。
※「利回り=賃料÷価格」ですから、賃料が一定であると仮定すれば利回りが低くなると価格が高く売れることになります。
また、「賃貸需要について調査したところ、本物件は相場より賃料が安く、アップサイドの可能性もあると判断し購入しました」とのこと。
賃料についてはCOZUCHIが付けてくれている神泉周辺の店舗の賃貸事例で見ると、上層階または地下1階で坪2~3万円となっています。
あくまで勝手な想像ですが、対象は1階ですから坪3万円半ばくらいはいけたのかもしれませんね。ちなみに賃料で坪3万円~4万円は渋谷ではボリュームゾーンです。
立地と物件の概要
対象動産の所在はこちらです。COZUCHIから地図を拝借してみました。
国道246号の背後地ですね。
余談ですが、今から10年以上前、不動産鑑定士資格の専門学校がこの辺にあったので、ほぼ毎日、当時住んでいた目黒からチャリで通っていた時期がありました。働かずに勉強に専念してたので電車代も節約したかったんですよね(余談おわり)。
対象不動産はJR山手線「渋谷」駅から徒歩約10分、京王井の頭線 「神泉」駅徒歩3分の立地です。
渋谷の中ではスクランブル交差点がちょっと別格ですが、公園通りやセンター街ほど知名度がない通り沿いでも、出店者にとって「渋谷駅徒歩圏」というインパクトは大きいと思います。
次に本物件の詳細はこちらです。
- 物件名:第18宮庭マンション 1階店舗
- 所在地:東京都渋谷区円山町28-8
- 最寄駅:京王井の頭線 「神泉」駅徒歩3分ほか
- 種別:店舗
- 竣工:1973年4月3日
- 地積:438.71㎡(敷地全体)
- 建蔽率、容積率:80%、800%
- 用途:商業地域
- 構造:SRC造1階建(B1付き12F建の1階部分)
- 延床面積:1階部分142.92㎡
- 権利:所有権
対象不動産は区分所有建物のうちの1階区分店舗(2区分)です。
グーグル先生で見てみるとこちらの物件ですね。
大通りから一歩入った裏路地で、住宅のほか店舗や事務所が混在するようなエリアにあって、上層階は住宅で1階部分が下駄履きの店舗になっています。
中の人のお話では、物件の規模が小さくて(1区画10坪も無いくらい)総額が抑えられることが希少性につながっているとのこと。
もともと激戦渋谷の中でも店舗供給が少ないエリアですから、小さくても渋谷に店を出したい需要者も一定数いそうです。
この辺のニーズが売却時の利回りに還元される可能性はあるかもしれません。
利回りや流動性についての所感
実は商業施設って分析がかなり難しくって、オフィスや住宅、物流、その他老人ホームなどのヘルスケア施設などは一定の相場観があるのですが、商業施設はわずかな立地の差で利回りは大きく変化します。
また、商業施設は出店する業種・業態、マクロ経済状況(それこそ今はコロナですし)の影響も大きく受けるので、個別具体的な利回りの断定は非常に難しくなります。
特に本物件は著名な通り沿いというわけではないので、相場観を適当に書くわけにもいきません。
ですからマーケットから見た利回りや相場観の具体的な数値は控えたいと思います。
詳細はちゃんと時間をかけて調べないとわからない部分もありますね。やっぱり。
ただ、人流の多い渋谷区の商業店舗であれあば、物販・飲食を問わず広い業種・業態の出店が可能ですから、売却時の流動性を鑑みると投資適格物件としては「あり」だと思います。
懸念点はコロナ
これはもう僕が言うまでもありませんが、店舗系はコロナの影響はムシできないので、一言だけ。
店舗系にとって、インバウンドやテレワーク導入拡大に伴うオフィスワーカーの減少なども考慮すると、感染拡大以前の状況まで回復するにはそれなりの時間がかかります。
特に渋谷はIT企業のオフィスが多いですからね・・・。従業者数の減少による飲食店へのダメージも大きかったことは想像に難くありません。駅外周部は値崩れしたという話も聞きましたし。
コロナの先行きは誰にもわからないところですが、少なくとも今東京では急速に感染者数が減少している中で、個人的には徐々に経済活動が回復による抑制された店舗需要への爆発に期待感はあるのかなと思っています。
対象は空中階ではなく1階であることもアドバンテージになると思います。
また、そもそもコロナが故に低価格で取得できたというのが本物件です。
将来的な需要回復は物件価値の向上につながりますし、このタイミングで購入できたのは大きなメリットとも言えると思います。
まとめ
最後にまとめると、「安く買った物件をバリューアップしてテナント付けし、賃料も上昇させて投資家に提供してくれる」というのが本ファンドです。
渋谷は↑で書いたとおり商業立地として更なる発展が期待される有望な地区でもあるので、裏通りとはいえ東京の他エリアに立地する店舗よりは立地面からみた市場競争力は高いと思いますし、
コロナを逆手にとって仕入れ、感染者が減少傾向にあるタイミングで募集し、コロナ回復を見越した2年間の運用期間なども、よく議論されたんだろうな~と勝手ながら思いました(なんか偉そうにすみません)。
店舗というアセット、立地、利回り、コロナを鑑みたタイミングなど、総合的に見てバランスよく仕上げられたファンドだと思います。
つたない説明ではありましたが、ご興味が出た方はCOZUCHIでのぞいてみてくださいませ。
それでは長文を最後まで読んでくださりありがとうございました。
今日も一日、健やかにお過ごし下さい。
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