このところ、内資、外資の高級ホテルが強気ですね~。
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外資系ホテルが相次ぎ上陸 インバウンド消滅でも強気: 日本経済新聞
この他にも、三菱地所がラグジュアリーホテル(最高位クラスのホテル)を誘致するというニュースもありましたし、東京建物も大阪に開発予定ですし。
三菱地所はホテルブランド「ロイヤルパーク」シリーズを展開する不動産ディベロッパーですが、先日、宮古島に米ヒルトンを誘致、2024年にはラグジュアリーホテル「ローズウッド」も開業する予定とのこと。
まあ、ちなみに「五つ星ホテル」なので1泊10万円以上からとか。僕には縁がないホテルであることは言うまでもありません。
コロナでインバウンドが激減する中、まあ、当然市場関係者も「いつまでもこの状況が続くわけはないよな~」となるわけで。
ホテル市場はファンドバブル崩壊、東日本大震災、新型インフルエンザ流行などの危機を乗り越えてきたように、もともとアップダウンを繰り返すアセットです。
特に不動産は開発に時間がかかるので、回復を見越して早めに事業が進みます。逆に言うと、開発に時間がかかるので、建物が竣工した頃には景気が悪くなっていることもありますが・・・
足下ではコロナで宿泊客が激減してますが、アフターコロナを見据えた高級ホテル開発ラッシュが続きます。
(引用)三菱地所がラグジュアリーホテル誘致 最後発で参入: 日本経済新聞
・・・という、高級ホテル業界に明るいニュースが聞こえてくるようになってきた中、COZUCHIから新ファンド来ましたね。
今回は静岡県伊東市にある「高級リゾート施設開発用地」です。
何というか、この時期に高級ホテルの開発案件を持ってくるなんて、不動産のセンスを感じます。もちろん、ホテルでしかも開発案件ですから、リスクもあると思うんですけど。
おもしろいファンドだと思うので、今回の記事ではCOZUCHIのホテル開発ファンドをふまえ、今の高級ホテルの開発市場について書いてみたいと思います。
COZUCHI伊東市川奈 高級リゾート開発用地(EXITプラス)
- 利回り:8%
- 運用期間:1年
- 募集金額:2.5億円
- 優先82.0%:劣後18.0%
- 募集開始:先行6/25 19:00(先着)、一般6/26 19時(抽選)
まず、今回のCOZUCHIの「伊東市川奈 高級リゾート開発用地 (EXITプラス)」のポイントをざっくりまとめてみます。
- 既に投資会社と売買契約済み(これをEXITプラスという)
- 更により高い金額、よい条件で第三者に売却を目指す
- この場合キャピタルゲインは上限無く投資家に配当する
とのこと。次に、物件面から見たポイントはこの3つ。
- 対象はホテル、旅館などのリゾート施設開発用地
- 伊東エリアは湧出量が豊富な温泉地
- 太平洋を一望できる高台。敷地内に源泉あり
さてさて。コロナのワクチン接種が進み、みんな旅行への期待が高まっているとはいえ、コロナが収束しきっているわけではありません。
足下のホテル経営は厳しい中、回復を見越してのリゾートホテル開発素地、という難しい案件ですが、COZUCHIの本ファンドは「売却契約済み」というリスクヘッジと更なるキャピタルゲインも追求されるという、攻めと守りのバランスの良いファンドです。
詳細はCOZUCHIのサイトに書いてあるので、ぜひご覧になってください。ここまで情報提供してくれるクラファン業者も珍しいです。
ただ、まあ、せっかくブログをやってるので、本記事ではCOZUCHIサイトに書いてないことをツラツラと書いてみたいと思います。
ホテル開発は分析がめちゃくちゃ難しい
まず前提として、ホテル開発はず~っと先まで考えるとめちゃくちゃ難しくて、深入りすると数週間は出てこれません(笑)
鑑定するにしても、ホテルは普通のレジの20倍難しいです。ぴったり20倍です。ホテルは経済や金融市場、不動産の立地などのみならず、「誰がどうやってマネジメントするか」によって価値が変わる資産なので・・・
以前、CREAL先生がリゾートホテル系を募集した際、こちらの記事で数日かけて調べたこともありましたが(現地に物件も見に行った)、当時は僕も若かったんですね。ガッツに満ちあふれていました。
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ホテル開発のマーケティング調査までやるのは完全にプロの仕事で、数百万円かかるケースもあります。これを個人ブログでやるのは、そもそも無理な話で・・・と事前に逃げ道を作っておきます(笑)
ですから、あくまで僕ごときのブログは参考程度にして、ご自身の判断で投資してくださいね。
で、ですが、加えてコロナとの共存生活が始まった今、ホテルは更に深い分析が必要になってます。
どうやって売り上げを最大化していくのか、レベニューマネジメント(需要を予測した販売管理)はどうするのか。僕たち鑑定の分野でも、今はホテルマーケットの再調査や知識のアップデートが必要になっています。
あ、そういえばホテル投資については、特に旅館なんかはリニューアルが必要な時に銀行から融資がなかなかもらえないこともありますね。
ホテルは資金調達源からマネタイズを考えなければいけない環境にあるので、直接金融が必要になるケースも増えています。そういう面から、ホテル系と不動産クラウドファンディングの相性はよいのかな~と思います。
だらだらと書きましたが、ようは短期間でホテル開発の分析は限りなく不可能に近いので、COZUCHIの本ファンドでは、ホテル開発というボラティリティが大きな資産に対し、昨今の高級ホテル市場の回復の兆しや、売買契約済みという安心感を天秤にかけて判断するのがキモになると思います。
高級リゾートホテル開発の良い面
例えば、今回のような高級リゾートホテルになるようなツースター、スリースタークラスのホテルでは、海外、日本人観光客が多くて、ある程度の繁華性が見込まれるエリアに立地することが多いです。
ようは、「ホテル以外に目的を持っている人が集まるホテル」とも言えると思います。
ポイント①:海沿いの高台
COZUCHIの対象物件は「伊東市という観光地」にあって、「海沿い」でしかも「太平洋を一望できる高台」にあります。上でご紹介した三菱地所のラグジュアリー「ローズウッド」も宮古島という観光地かつ海沿いの岬にありますね。
「海沿いの高台」はかなりポイント高いです。リゾートホテルにとって眺望は重要で、仮に海抜50mより高い立地にあって、圧倒的な眺望が望めれば、プレミアムのADR(平均客室単価)が付くケースもあります。
リゾートホテルは非日常感があふれる立地がポイントです。都心部ではなく、むしろ地価の安い田舎にあった方がよかったりします。あ、そういえばCREALのちくらつなぐホテルもそうでしたね。あっちは高台ではありませんでしたが。
また、今のSNS時代のホテルはマーケティングによる集客の占める割合が大きいです。
SNSの浸透で、個人が自由にホテルを選べる時代になっていて、宿泊客に分かりやすいように自社の魅力を伝えるとか、体験価値は何なのかをブランドに載せて表明する必要があったりします。
つまり、ホテル開発後、いかに観光地である伊東や眺望を売り出していくかにかかっているのかな~と思います。とまあ、つまり、完全にホテル運営のプロの仕事になってくるので、今、この状態で外部からどうこう言えないのです(笑)。
ポイント②:源泉
あと、「これはめちゃくちゃいいな~」と思ったのは、対象には「源泉」があること。
旅館では温泉についてどういう契約を結んでいるのか、自社で源泉を持っているのかが本当に大切で、自社で源泉を持っていと収益性に大きな影響を与えます。
ポイント③:今の時代のホテル設計が可能
あとは、メリットと言えるかどうかは微妙ですが、今のコロナの現状を把握したうえでホテル設計できることは、アドバンテージが高いのかな~と思います。
今、求められているのはインバウンドや富裕層の日本人向け、広めの部屋とバス、アメニティの充実などです。宴会場なんかは廃止しちゃった方がいいんじゃないでしょうか。
運営の柔軟性の観点から部屋のタイプ数は多くない方がいいですし、部屋のタイプはシンプルにして、プランで差別化するとか。
また、コロナの反省を活かしインバウンドに頼りすぎずに、国内富裕層をメインターゲットにしようとか。
何が言いたいのかというと、ホテルはたった5年でも何も対策しないと陳腐化します。今から建物を設計できるので、既存ホテルより差別化が図れる点はメリットかと思います。
高級リゾートホテル開発のリスク
良いことばかりではありませんので、悪いことも書いておきます。まあ、当然どんな物件にも言えることですが・・・
ポイント①:コロナ
ホテルは安心安全が第一。人の命を預かってますから。それを踏まえたうえで、まずご存じのとおり、コロナでインバウンドや国内需要も激減してます。
回復を見越して外資系の高級ホテル誘致が進んでいるとは言え、コロナの影響はやっぱり無視できないと思います。 ただ、まあ、あれですよ。これは誰しも知ってることなので、あえて僕がいうことでもないと思います。なのでコロナの影響は割愛します。
一応、ホテルマーケットはコロナ前からすでに激変してたということは書いておきたいと思います。
体験型へのシフトだったり、アメニティのコスト増大だったり。安倍政権以降、供給が激増したホテル業界では、生き残りをかけた熾烈な競争が始まってます。
ポイント②:新規参入リスク
リゾートホテルだとそこまで影響はないのかもしれませんが、特にビジネスホテルなんかだと、近くに競合ができるだけで、一気にADRやOCC(平均客室稼働率)が下がってしまうこともよくあることです。
鑑定でいえば、地域分析で宿泊需要の推移・動向の分析が一番大切になっていまして。ホテルはマーケットの中でシェアを取り合うので、新規参入でガラッと変わります。
その辺も不確定なリスク要素かな~と思います。
ポイント③:建築費
あと、これからホテルを開発する際にムシできないのは、建築費の高騰です。新しくホテルを建築する際、投資採算性の観点から議論になってくると思います。
ホテルは事業収支が不動産価値に直結する事業用不動産なので、たとえ開発前の案件であっても収支予測は大切だったりします。
まとめ
僕の悪いクセで、妄想モードに入ってしまったので、そろそろまとめに入ります。
今回のCOZUCHIの高級ホテルが「外資系なのか、日系なのか」、はたまた「初期投資、想定稼働率は?」などなど。すべてを現段階で想定するのはめちゃくちゃ難しいです。というか僕には不可能です。
今は日本の不動産は世界から注目されてますし、アフターコロナを見据えた外資系ホテルが開発ラッシュです。本物件は源泉があって眺望もいい高台ですから、有名外資が入る可能性も十分あるんじゃないかな、とは思います。
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当然リスクはありますが、それをCOZUCHIは「売買契約済み」というリスクヘッジをしてくれてる案件が本件です。
高く売却できたらさらにキャピタルゲインも配当してくれますし。個人的には、今の高級ホテルの市況、対象の好立地を考えると、確かにその可能性もありそうです。
COZUCHIにはその道のプロがそろってますし。
難しい案件ではありますが、おもしろい案件でもあります。
コロナ収束を見越して高級ホテル開発が活性化しだした中、リスクをヘッジした売却先が決まっている好立地のホテル開発案件を組成してくれたCOZUCHI。
うーん。さすが長者様だな~と思いました。いつも考えさせてくれますし、今回も自分で整理して書くことで勉強にもなりました。こういうところが不動産クラファンの良いところだったりします。
利回り8%とキャピタルゲインへの期待も込めて、僕は投資しようと思います。
\今注目の不動産クラファン/