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不動産鑑定士のリアル資産運用(投資予算3000万円)

【不動産投資】不動産鑑定士がボロ物件投資の注意点を解説

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突然ですがみなさんは不動産投資について、どう思われますか?

 

「金額大きいので怖い」「不動産業者に騙されそう」と思われている方も少なくないと思います。

 

確かに不動産の世界は情報格差が大きく、不動産業者にカモられることも少なくありません。

 

今回の記事では不動産投資初心者がカモられないための、不動産鑑定士の観点から不動産投資の注意点についてまとめました。

 

 

1.不動産投資には何があるの?

 

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不動産投資には大きく分けて2つの種類があります。

 

不動産投資の種類

 

「実物資産」を購入して賃貸し、賃料収入(インカムゲイン)を得る、または売却して売却益(キャピタルゲイン)を得る。
ex.戸建賃貸住宅、アパート・マンション1棟、区分所有(マンションの1室)など

 

②実物資産を所有しないで、「証券化された不動産」(不動産投資信託)を購入し、配当(インカムゲイン)を得る、または売却して売却益(キャピタルゲイン)を得る。
ex.J-REATなど

  

②の証券化対象不動産とは、簡単に言うと「みんなでお金を出し合ってオフィス、マンションなどの収益物件を購入し、その賃料収入を配当としてみんなに還元する」というイメージですね。

 

共通点は、①・②ともに投資家はインカムゲイン、またはキャピタルゲインを得ることができる点、相違点は、①は投資家が実物資産を所有するのに対し、②は実物資産を所有しないという点です。

 

ちなみに①、②ともに収益物件の評価は不動産鑑定士である私の専門分野で、Jリートや外資系ファンドなどが運用する住宅、オフィス、商業施設、物流施設、ホテル、底地など数百件のありとあらゆる収益物件の評価をしてきました。

 

2.実物資産と証券化対象不動産を購入するメリット・デメリット

 

両者のメリット・デメリットはざっくり言うと以下のとおりで、不動産投資家は目的の違いによりこれらのいずれか(または両方)に投資しています。

 

①実物資産

  •  メリット:元本に対する収益性(利回り)が高い。自分でリフォームするなどのバリューアップが可能。
  •  デメリット:個人で購入するので物件価格が高く参入ハードルが高い。売却時の流動性が劣る(売りたいときにすぐに売れない)。空室リスクが大きく影響する。

 

②証券化対象不動産

  •  メリット:証券化され、みんなでお金を出し合って買うから1万円からでも購入可能。売却時の流動性が高い。特定の不動産ではないためリスク分散になる。
  • デメリット:元本に対する収益性(利回り)が低い。Jリートなどは価格高騰で利回りは下限にある。自分でバリューアップできない。

 

3.ボロ物件への投資

 

私の不動産鑑定士としての実務上は、どちらかというと証券化の対象となるようなピカピカの収益物件を見ることが多かったですが、投資家としては金融資産のほかに堅実な実物資産を持ちたいなと思ってたので、築年の経過した戸建・アパート等にも興味があります。

 

  

実物資産への投資は不動産の初心者には難しいので、はじめの一歩は失敗しても立ち直れるように「ボロ物件を格安の現金一括で購入し、リフォームのうえ安く貸し出し、賃料収入を得る」というビジネスモデルからはじめた方がよいと思います。何事も小さく始めることが肝心です。

 

物件を買うための節約方法をまとめた記事はこちら。

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ただし、昨今の不動産投資ブームでボロ物件でもなかなか良い物件がでなくなりましたね...。特に2017~2018年は期待利回りも下限にあり、不動産投資ブームのピークでしたね。今後はスルガショックからの融資引き締めにより不動産価格も下落する可能性が高まっています。

 

不動産価格が落ち着くまで少し待つことをおすすめしますが、「どうしても今欲しい」という方は不動産価格が高騰している時代なので、良い物件は自分で探すしかありません。

 

不動産投資への需要がピークにある中、誰も見向きもしないようなボロ物件しか低価格で手に入りません。しかしこのような物件は自分でリフォームするなどのバリューアップが可能で、がんばればがんばるだけ努力が反映されるところがメリットです。

 

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一人でコツコツ努力できる人には向いていると思います。友達のいない人とか。。。はい、私のように。

 

ボロ物件は利回りが高くなりますが、利回りが高いということは、その分、リスクやボラティリティ(価格変動)も高いということです。「利回り=リスク」と考えて問題ありません。

  

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4.不動産業者の売り出し価格は投資家目線より高い

 

不動産業者の方の話を聞く機会も多いですが、不動産業者の投資物件の売り出し価格は基本的に高いですね。

 

いや、物件を買って自分で住むならいいんですよ。

 

でも投資物件としては、ある程度のキャッシュフローと利回りを確保しなければなりませんが、一般の売り出し価格ではそれが難しくなっています。

  

5.不動産業者が一般の人に絶対に言わないこと

 

特に不動産業界は情報格差がものを言う業界で、不動産知識がなければないほど損をします。

 

不動産業者や工務店は、人手不足で人件費が高騰し、建築費も高止まりしている中で少しでも粗利を稼ぐため、当然ですが「地主からは少しでも安く仕入れ、エンドユーザーには少しでも高く売りたい」と考えています。

 

地主もエンドユーザーもけっこうカモられてるのは良くある話。実際に不動産仲介業者で地主のおじいさんがカモられてる現場に遭遇した記事はこちら。

  

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日本ではレインズ(Real Estate Information Network System:不動産流通標準情報システム)という不動産ネットワークシステムがありますが、その情報は登録している不動産業者(宅建業者)のみが閲覧でき、一般の人が閲覧することはできません

 

一般の人までネットワークで情報が共有されているアメリカとは違い、日本では不動産業者が物件情報を持っていることだけで、不動産業者が一般の人より優位に立っています。 

 

このように不動産業界(宅建業界)は閉じられた世界なので、不動産業者と一般消費者とでは圧倒的な情報格差があります。しかも、業界が古く情報が流通していないため、格差を埋めるのは難しくなっています。

 

本当は1件ずつきちんと物件の価値を不動産鑑定士が判定した方がいいんでしょう。

 

アメリカでは不動産を探す際は不動産鑑定士が同行し、修繕履歴や設備状況を判断のうえ、類似事例との比較し収益価格なども査定しています。日本の不動産業界(宅建業界)は圧倒的に遅れていますし、既得権益のしがらみもありますので、住宅購入環境が整備されるのはいつになるか分かりません。

 

そんな中で不動産に詳しくない方がいい物件を探すのは簡単ではなくなります。勉強して身を守るか、物件を購入するときにできれば身近な不動産鑑定士に同行してもらった方がよいと思います。

 

6.なぜ不動産業者の売り出し価格は高いと感じるのか?

 

投資用不動産の価格はざっくり言うと「積算価格」「収益価格」の2つがあります。

 

積算価格と収益価格

  • 積算価格(供給者の視点):土地価格と建物価格の合計
  • 収益価格(需要者の視点):その物件の持つ収益力から価値を査定する(※)

(※)収益価格を求めるには賃料を利回りで割り戻す(収益価格=賃料÷利回り)

 

投資家は不動産を使用することによる効用を基にした「需要者価格=収益価格」から物件価値を判断するのですが、多くの不動産業者は、その不動産の相対的希少性を基にした「供給者価格=積算価格」をベースに値付けしています。

 

ここで「収益価格」と「積算価格」の関係は次のとおりです。


「積算価格(不動産業者売り出し価格)>収益価格(投資家が買いたい価格)」

 

築古物件では建物の価値はほぼ0なので、積算価格は土地価格と同程度になりますが、地方だと家賃は高く取れないため、投資家目線の収益価格は土地価格にも届きません

 

つまり、

 

「収益価格<土地価格≒積算価格」

 

となるため、投資家にとって不動産業者の売り出し価格(積算価格)はどうしても高くなります。要するに不動産業者と投資家では物件価値の査定方法が違うんですね。

 

例えば、中古戸建住宅を不動産業者の売値(≒土地価格)500万円で買った場合、家賃を5万円とすると年間家賃収入が60万円(月5万円×12カ月)、粗利回りが60万円÷500万円=12%となります。

 

ここからさらに購入時に必要な諸経費やリフォーム代、税金、保険等も必要になるので、純利回りはさらに低くなってしまいます。リスクをとってボロ物件を購入するのですから、純利回りが10%は欲しいところですね。

 

7.ボロ物件を安く買う方法

 

では不動産投資家はどうしたらいいか?私の結論は、

 

「建物取り壊し費用を交渉材料として値引きしてもらう」です。そして実際には建物を取り壊さずにリフォームのうえ賃貸します。

 

ボロ物件を鑑定評価する場合、その多くは土地価格から建物取り壊し費用を控除することにより鑑定評価額を査定します。鑑定評価では一般経済市場で最も高く売れる価格を査定するので、「古い建物を取り壊して更地化し、新たに最有効使用に基づく建物を建設した方がその物件の持つ価値が向上する」と考えるからです。

 

上記の例でいえば、中古戸建住宅を不動産業者の売値(≒土地価格)500万円から、建物取り壊し費用200万円を控除すると、購入価格は500万円-200万円=300万円となります。建物取り壊し費用は年々上昇していますので、ここにも交渉の余地はありますが、通常の木造住宅であれば単価15,000円/㎡~20,000円/㎡と見ておけばよいでしょう。

 

家賃が5万円として年間家賃収入が60万円(月5万円×12カ月)、この場合の利回りは60万円÷300万円=20%となります。粗利で20%あれば十分ですね。

 

大抵の不動産業者の売り出し価格は取り壊し費用は考慮されていないので、そこにチャンスがあります。

 

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交渉に聞く耳を持たないオーナーも多いですが...。まあ、交渉してみる価値はあると思います。

  

この他、相場より安く物件を買うため、競売・公売に参加するという手もありですね。ちなみに競売物件は不動産鑑定士が評価しています。ただ、昨今の競売・公売は不動産業者以外の個人も参入するようになったので、需要が競合して物件価格は高くなり、以前ほどの旨味はなくなっています。内覧もできないので、不動産投資初心者にはあまりおすすめできません。

 

8.まとめ

 

まとめます。

  • 投資用不動産には「現物の不動産」と「証券化された不動産」がある。
  • 不動産業者の売り出し価格は投資家目線より高い。
  • 不動産業者と一般消費者には圧倒的な情報格差がある。
  • 不動産業者と投資家の価格が乖離するのは「積算価格」と「収益価格」の違い。
  • 投資家はとにかく物件を安く購入することが重要。
  • 建物取り壊し費用を交渉材料として値引きしてもらう。

 

地方には戸建住宅の空き家が多く、放置しても良いことは一つもないので、空き家の再生はすばらしい社会貢献にもなります。

 

不動産投資を検討されている方の参考になればうれしいです。

 

物件検索で便利なサイト