不動産クラウドファンディング投資研究所

サラリーマンを卒業した不動産鑑定士が、不動産クラウドファンディングに投資してみた

「BATSUNAGU(バツナグ)」で地方創生

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不動産クラウドファンディングに新しい事業者「BATSUNAGU(バツナグ)」が登場しました。今回はBATSUNAGUについて、僕の所感を交えながら見ていきたいと思います。

 

もう僕が言うまでもありませんが、不動産クラウドファンディングは間違いなく拡大傾向にありますね。

 

その理由を紐解くと、本ブログでも何度も書いてますが2017年の制度改正で不特法のクラウドファンディング活用が可能となったことが一番の理由かと思います。

 

特に拡大のスピードが速くなったのは2020年頃から。ん?2020年といえば・・・皆さんわかりますか?

 

・・・そう、新型コロナウイルス感染症の拡大と不動産クラファンの拡大がリンクしています。

 

そういえば、コロナで購入型や寄付型のクラウドファンディングが増えたという話を聞いたことがあります。

 

不動産会社によるクラウドファンディングの利用が急増している理由の一つに、コロナ禍の新たな資金調達手段として、不動産クラファンの認知が広がってきているのということに、今頃になって気付きました。

 

では前置きはこのくらいにして。次章よりBATSUNAGUを深掘りしていきたいと思います。

 

BATSUNAGU(バツナグ)

 

 

BATSUNAGU(バツナグ)の再生事業と地方創生

 

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BATSUNAGUの由来は「場と人がつながる場をつくるファンド」とのこと。

 

僕は勝手にこのようなファンドを「共感型ファンド」と呼んでいます。ちなみに、共感型ファンドの先輩は「ハロー! RENOVATION」や「利回りくん」などです。なんとなくニュアンスは伝わりますでしょうか?

 

BATSUNAGUのこれまでの募集ファンドは2件ですね。「古民家再生」と「ペンション再生」。一言で言うと「不動産クラウドファンディングを使った再生事業」です。

 

今ある不動産ストックを再生して、地方創生につなげるという取り組みがメインの不動産クラファンですね。

 

このような活動は国も推進していますし、今はこういう「地方創生」を意識したクラウドファンディングによる不動産特定共同事業の活用が増えてます。

 

先日紹介したエンジョイワークス(資本金1億円)もそうですし。

 

【関連記事】

国と自治体と不動産クラウドファンディングの今後

 

↑の記事で予想しているとおり、これからもどんどん増えると思います。

 

空き家や古民家、地域のコミュミティ施設の再生としてこれまでは銀行から融資を受けて開発・再生していたけれども、開発・融資側のリスクが大きく信金力が必要になる、そこで不特法を活用して、出資額を小口化して資金調達する。

 

この流れは、当面は止らないと思います。

 

特に小規模不動産特定共同事業の再生事業なら、本来の目的が「多様な資金確保で地域の応援をしたい!」ということですから、共感も得られやすいですしね。

  

BATSUNAGU(バツナグ)の特徴

 

次にBATSUNAGUの特徴を見ていきます。

 

大きく分けてBATSUNAGUには「小規模不動産特定共同事業」、「地方創生・地域活性化に貢献」、「不動産関連事業が幅広い」の3つの特徴があります。

 

それぞれ順番に見ていきます。

 

小規模不動産特定共同事業

 

まず、BATSUNAGU大きな特徴の一つは「小規模不動産特定共同事業」であることですね。

 

上記で書いた2017年不特法の改正では、小規模不動産特定共同事業も創設されました。

 

小規模不動産特定共同事業とは、原則として投資家1人当たりの出資額が100万円以内、かつ、投資家が行う出資の合計額が1億円以内のものを指します。

 

どういうことかと言うと、小規模ではその趣旨に鑑みて募集規模も小さくなるので「あまり一人でたくさん投資しないでね!」ということに加え、事業者も「募集の合計は1億円までね!」ということが決められています。

 

また、通常の不動産特定共同事業は許可要件のハードルが高いのですが(資本金1億円、負債比率など)、小規模事業者の最低資本金は1,000万円に緩和されています。

 

通常の不動産特定共同事業が資本金1億円の許可制であるのに対し、「最低資本金1000万円じゃ心配だ」という声に配慮して、小規模不動産特定共同事業は「5年の登録更新制」が採用され、投資家保護を図っています。

 

要は、空き家や空き店舗などがドンドン増える昨今、それらの再生に全国の不動産業者が参入できるよう、資本金の要件などが緩和されたというわけです。

 

地方創生・地域活性化に貢献

 

地方創生については、BATSUNAGUサイトからメッセージを引用させていただきました。

 

各地域の強み・風土・文化を継承、掘り起こしのアレンジを行い、具体的な事業化の推進を行ってまいります。その中で投資家様とご一緒に地域活性化を目指したプロジェクトにしていきたいと考えております。

(引用)BATSUNAGUサイト

 

まさに共感型クラファンですね。個人的には共感は地方創生には欠かせないエッセンスだと思いますし、非常に大切なアピールポイントだと思います。

 

ちなみに不動産特定共同事業では開発・大規模改修も可能ですから、中小規模の再生案件などに適したスキームです。

 

同じ資産流動化法の元でも、主にピカピカのビルが対象になるJ-REIT(投信法)と不特法の異なる点ですね。

 

昨今では小規模な物件や耐震性が劣る物件に不特法が活用されるケースがじわじわと増えています。

 

不特法のポテンシャルを感じざるを得ません。

 

不動産関連事業が幅広い

 

引用の味を占めたので(笑)、もう一度BATSUNAGUサイトからメッセージを引用させていただきます。

 

不動産の売買だけでなく、あらゆる不動産シーンで幅広くサービスを提供しており、不動産クラウドで取り扱う物件についてもあらゆる事業で培ったノウハウを生かした運用を行います。

(引用)BATSUNAGUサイト

 

BATSUNAGUの運営する株式会社リムズキャピタルのホームページを見ると(詳細は後述します)、確かに多角的に不動産事業を展開されています。

 

一般的なオフィスビル・レジデンスのほか、商業施設やホテルなどのオペレーショナルアセット他、開発事業も行なう・・・など。なるほど、多方面で活躍されているようです。

 

余談ですが、昔の不動産クラファンで良くあった「賃貸業が得意です!稼働率99%です!」という事業者は最近見なくなりましたね。

 

賃貸業オンリーというよりは、今、事業者に求められているのは(というか、僕が個人的に求めているのは)多様性です。

 

立地、アセットタイプ、築年数など、投資先を分散させておきたいので、多様な事業に基づく多様な商品ラインナップを提供してくれる事業者の参入が増えていますし、個人的にも大歓迎です。

 

本業で培われたノウハウを不動産クラファン物件として提供してくれれば・・・業界がどんどんおもしろくなりますから。

  

BATSUNAGU(バツナグ)

 

BATSUNAGU(バツナグ)の運営

 

BATSUNAGUの運営は株式会社リムズキャピタルです。

 

社名 株式会社リムズキャピタル
設立 2016年4月27日
代表取締役 磯部 昌史
取締役 三平裕毅
資本金 5,000万円
住所 東京都千代田区神田錦町2-7-4F
資格 宅地建物取引業 東京都知事許可(1)第101927号
小規模不動産特定共同事業者 金融庁長官・国土交通大臣(1)第6号

 

財務状況は未公表なのでわかりませんでしたが、資本金は小規模の要件を大きく満たす5000万円。

 

事業内容は先ほど触れたとおり多角的で、このようなラインナップです。 

 

  • 事業への投資及びアレンジ業務
  • 事業再生、地方再生業務
  • 海外進出支援事業
  • 宅地建物取引業
  • 不動産、有価証券、資産運用に関するコンサルティング業務
  • 不動産特定共同事業

 

リムズキャピタルのホームページを見る限り、不動産業のほか投資コンサルティングをメインにされてるようです。

 

地方創生事業なども手がけられていたこともあり、不動産特定共同事業の一端として今回から不動産クラウドファンディング「BATSUNAGU」を開始された、という経緯です。

  

BATSUNAGU(バツナグ)の募集ファンド

 

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これまでBATSUNAGUで募集された2件を見てみます。1件目からおもしろいな~と思ったのですが・・・北海道のサウナですよ、サウナ。

 

BATSUNAGUのタイトルを引用させていただくと「-地方創生 基地づくりファンド 第一弾-北海道 当麻町 古民家再生 大自然満喫 アースバッグサウナ施設ファンド」とのこと。

 

ちょっとタイトルに情報が多すぎて整理しきれません(笑)

 

要は、古民家をカフェ、宿泊・ワーケーション施設へ改修し、敷地をサウナ施設、キャンプ場にするための不動産クラファンようです。

 

※ワーケーション:「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語。働きながら休暇を取ること。

 

北海道の大自然の中にサウナがポツンとあるという・・・「ここは日本?」と疑ってしまうほど壮大で綺麗な写真が掲載されてますので、僕がどうこう言うよりも、ぜひBATSUNAGUで見てみて欲しいのですが、

 

BATSUNAGU(バツナグ)

 

肝心のファンドとしては利回りは6%で期間は1年、募集金額は1千万円と標準的です。劣後出資割合はちょっとわかりませんでしたが、会員限定情報でしょうかね。

 

※ちなみにBATSUNAGUのトップページの一般的な説明文の画像には、劣後割合30%と記載がありました。

 

1号はすでに満額成立してますね。

 

そして2号は斑尾高原(まだらおこうげん)のペンション再生で利回り7%。

 

個人的には斑尾高原を知らなかったのでBATSUNAGUの情報をそのまま転記させていただくと、長野県飯山市と新潟県妙高市にまたがっている避暑地やスキー場のある高原のようです。

 

日本型ペンションを長期滞在型のサービスアパートメント施設に改修するとのことです。ちなみに貸家で一棟貸しされてますね。

 

※サービスアパートメント:ホテルとアパートの中間の機能をもった住居のこと。

 

「一棟貸しなのでマスターリース契約かな?」とは思いますが、詳細は会員登録後に確認できるので、また確認して何かあれば記事にしたいと思います(今は会員登録申請中です)。

 

ファンドの概要はこちらで、

 

  • 募集金額:5000万円
  • 運用期間:1年間
  • 利回り:7%
  • 分配時期:半年ごと

 

小規模にしては大口の5000万円!いきなり小規模の募集上限である1億円の半分を使ってきましたね。

 

この辺から事業者も力の入れようがわかります。これは満額集まるか見物です。まあ、仮に集まらなくてもまだローンチ直後ですからね、大した問題でもないのですが・・・どうしても気になるのはクラファンブロガーの職業病です(笑)

 

テナントへは上記のとおり一括賃貸で、その概要がこちらです。

 

  • 借主:株式会社LCフィールドパートナーズ
  • 賃貸借契約期間:2年間普通賃貸借契約
  • 賃料:毎月賃料固定

 

賃料は固定されてますね。事業用不動産によくある売上に連動した歩合制でなないので、事業の善し悪しに左右されない点でインカム配当の安定感があると思います。

 

まとめ

 

ASSECLI、WARASHIBE(COZUCHI)、victory fundなどバリューアップ型の不動産クラファンの実績はまだそれほど多くありませんが、今後はどんどん増えていくと予想しています。

 

そしてBATSUNAGUは「バリューアップ型」でもあり、「共感型」でもあるという新しいポジションですね。楽しみです。

 

それに「地方」でもある。個人的には東京一極集中を是正してくれる不動産クラファンは歓迎しています。

 

J-REITでも福岡リート、マリモ地方創生リート、ひろしま地方創生リートなど、地方を投資対象とする銘柄がどんどん増えてます(今後も予定あり)。そこに外資までも加わって、高利回り物件を狙って地方へ分散化が進んでいます。

 

僕の投資方針として、不動産クラファンでは効率的フロンティア(分散投資でリスクを最小化し、効果を最大化すること)を目指してますので、BATSUNAGUにもサクッと登録しました。

 

それに新規業者は何かと美味しいですからね。

 

BATSUNAGUではキャンペーンを実施してないようですが、キャンペーンを拾いまくる庶民としては(先月は1.2万円分をゲットしました)、先行者利益で何かあるといいなという下心もありつつ・・・

 

期待してますよ!リムズキャピタルさん!(プレッシャー笑)

 

ということで、BATSUNAGUのご紹介と個人的な感想でした。

 

余談ですが今回は個人的にも注目している再生事業ということで、最近では多めの5000文字以上も書いてしまいました。最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

 

BATSUNAGUはまだまだこれからのサービスですが、バリューアップ型はこれから伸びる市場ですので、ぜひチェックしておいてください。 

 

BATSUNAGU(バツナグ)

  

\地方創生クラウドファンディング/

BATSUNAGU