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サラリーマンを卒業した不動産鑑定士がクラウドファンディングに投資してみる(予算3000万円)

maneoの神奈川県川崎市の担保物件を不動産鑑定士が概算


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maneoの大量期失では、担保物件の売却活動に進展がない状況が続いており、不安になっている投資家も多いと思います。

 

この担保物件のうち、大きな価格割合を占めてる「神奈川県川崎市の物件」について、「いったいいくらで売れそうなのか?」、与えられた情報から物件価格を概算してみました。

 

   

概要整理

 

事前に本件の状況を整理しておきます。

 

  • 当初の担保物件の評価額は16億円だった。
  • maneoは15億円で売却活動中(任売・競売も検討)
  • 12億円で売れれば元本毀損はない

 

ネット情報による担保物件概要はこちらです。

 

  • 所在地:神奈川県川崎市麻生区五力田414-1
  • 最寄り駅:小田急多摩線の五月台駅に近い
  • 用途地域:市街化調整区域
  • 土地面積:13,400㎡
  • 建物面積:2,000㎡(2階建)

 

事前に宅地・山林部分の各々の面積を、

 

  • 有効宅地:目測で概ね1,500㎡
  • 山林部分:全体13,400㎡-宅地1,500㎡=11,900㎡

 

と概算しておきます。

 

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グーグルマップ:川崎市麻生区の物件全体

 

次に土地価格水準の参考になる公的評価情報はこちらです。

 

  • H30固定資産税評価額9.1万円
  • 相続税路線価は付設されていない
  • 宅地部分の規準となるような公示地、基準地はない
  • 川崎市麻生区に林地の公示地、基準地はない

 

建物については経年劣化が進んでいるように見えます。 実質的に宅地として価値がある部分(平坦地)は、建物が建っている部分と駐車場部分となります。

 

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グーグルマップ:川崎市麻生区の物件宅地部分

 

市街化調整区域なので、原則として既存建物を建て替える場合には開発許可が必要になります。 

 

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川崎市ホームページ:用途地域図

 

東京商工リサーチのホームページより引用

 

既にご存知の方も多いと思いますが、東京商工リサーチでのホームページで物件情報がまとまっています。

 

担保を設定し、評価額の75%の融資額にとどめたファンドで返済延滞が発生。しかも担保不動産を売却しても元本割れの事態など、投資家の誰ひとり想定しなかっただろう。 

川崎市麻生区の物件

川崎市麻生区の物件

 TSR情報部は、延滞したファンドの一部不動産の住所を特定し、現地を確認するとともに不動産登記簿を取得した。
 評価が約16億円という川崎市麻生区の物件は今年1月31日、不動産業の(株)アルデプロ(TSR企業コード:294467530、新宿区)がA社(2017年7月設立)に売却した。
 返済延滞の翌日である5月26日、物件はA社から(株)TT(TSR企業コード:022868461、大阪市)へ売買により、所有権が移転する。TTについて、「maneo」の関係者は、「(maneo)グループ企業ではない」と明言する。
 川崎市麻生区の物件は、私鉄の最寄り駅から徒歩10分。山林の中腹にある診療所跡地だ。入口は閉ざされ、周囲は草木が生い茂り、物件の確認が難しい。近隣住民も「数年前から人の出入りがない。こんな山中の物件を買う人がいるのか」と話す。
 複数の不動産業者によると、この物件は15億円で売りに出されている。「maneo」が投資家に提示した評価額16億円を1億円も下回る。担保評価の業者買取価格の妥当性はわからないが、「maneo」やリクレは物件の売却に難航しているようだ。
 A社は、「maneo」のファンドを利用し、川崎市麻生区の物件のほか、神奈川県内や東京都内などでリクレに不動産担保を提供する形で資金を調達している。

 物件の多くは賃貸アパート大手の(株)レオパレス21(TSR企業コード:291293581、東京都)から2017年10月にアルデプロに売却され、その後A社に所有権が移転している。アルデプロの関係者は、A社について「当社(アルデプロ)とは一切関係ない、取引先の1社に過ぎない」と答えた。

ネット融資仲介「maneo」の組成ファンドが返済を延滞、元本割れの恐れも : 東京商工リサーチ

  

担保物件の概算評価

 

ここから物件を概算評価していきます。最初に断っておきますが、全て限られた情報の中での個人的な机上概算額です。

 

さて、今回は売買価格の参考となり得る積算価格を概算します。なお、収益価格は買主が不明で、仮に医療法人だとしても病院事業の収支予測が現段階ではできないため、査定しません。

 

宅地部分の土地価格

 

固定資産税路線価は91,000円/㎡ですので、時価に割り戻すと

 

91,000円/㎡÷70%=130,000円/㎡

 

となります。ただし、これはあくまで小規模戸建住宅用地としての価格なので、規模の大きな対象地は総額がかさみ、市場性が減退するためこの価格より下回る可能性が高くなります。暫定的に宅地部分は80,000円/㎡とします。

 

宅地部分80,000円/㎡×有効宅地面積1,500㎡=1.2億円

 

林地部分の土地価格

 

市街地近郊で付近に宅地がある林地なので、いわゆる「都市近郊林地」です。

 

林地は取引が少ないため、相場が確立されにくく、売買価格は当事者次第なのですが、平均的な日本の都市近郊林地では、土地単価800円~1,000円程度です。

 

対象地は最寄り駅に近く、市街化区域に近接している宅地化の影響を強く受けた林地のため、暫定的に1,000円/㎡とします。

 

林地部分1,000円/㎡×面積11,900㎡=1,190万円

 

土地価格合計

 

宅地部分1.2億円+林地部分1,190万円≒土地価格1.3億円

 

建物価格

 

建物価格は正確な延床面積や築年数、躯体・設備比率などの詳細が不明なため、超ざっくり概算です。

 

再調達原価250,000円×建物面積2,000㎡×現価率30%(老朽化の程度も考慮)=建物価格1.5億円

 

積算価格

 

土地価格1.3億円+建物価格1.5億円=積算価格2.8億円

※詳細不明なため個人的な概算額です。

 

最有効使用

 

最有効使用とは最も価格が高く査定される使用方法のことです。 

 

仮に、建物を別の用途にリノベーションするには多額の改修工事費用が必要となり、取得価格に対して赤字になると思います(改修費用は数億円)。

 

また、建物を取り壊すことが最有効使用だとすると、

 

取り壊し単価50,000円/㎡×建物面積2,000㎡=1億円

土地価格1.3億円-取り壊し費用1億円=取り壊しを前提とした価格3,000万円

 

となるので、建物を取り壊すこともできない。

 

上記より、リノベーションもできず、建物も取り壊せないため、消極的な理由により土地建物の最有効使用は現況継続利用になると思います。

 

個人的な所感

 

収益価格が査定不可能なため、積算価格のみの査定となりました。収益価格が分かればこの概算額も変動しますが、個人的には、この2.8億円があながち当たらずとも遠からず、と思ってます。

 

ただ、廃病院は現況のまま利用できないと考えられるため、建物改修費用を売主が負担する場合、積算価格2.8億円から改修費用を控除するので、価格は更に低くなります。また、建物取り壊しを前提とした価格になった場合は、上記のとおり3,000万円です。

 

つまり売却価格は2.8億円からもっと下がる可能性もある。

 

せめて建物が国民宿舎などであれば、ホテルに改装して勢いのある大江戸温泉リートに売却、という最高のシナリオもあったのかもしれません。

 

病院のまま使うのであれば、付近に大病院もあるようですし、昨今の厳しい病院経営環境からは、医療法人が取得して病院事業を行うというシナリオは、個人的にはかなり苦しいと思います。

 

病院経営は収益性の低さから買い手が少ない需要不足の状態で、将来見通しの不安等の構造的な供給圧力も継続しているからです。

 

また、宅地の周辺は林地ですが、林地の価格も林業経営者不足、木材価格の下落等から全国的に下落が続いています。

 

しかも市街化調整区域で開発許可が必要なため、林地を住宅地として開発するには制約が伴います。さらに、都市の成熟化に伴う市街化圧力は鈍化傾向にありますから、大規模な開発を伴う宅地需要は減退傾向にあり、開発素地としての需要もおそらく見込めません

 

つまり林地部分の有効活用もできない。 

 

既存建物を大規模改修した場合、数億円はくだらないであろう改修費用、取り壊しを前提とした価格、昨今の医療法人経営環境を考慮すると、詳細は不明なため、あくまで限られた情報の中の個人的な机上概算額であることを再度強調しておきますが、正直、本物件を16億円で評価したことに驚きを隠せませんでした。

 

maneoによると現時点では医療法人等への売却活動と、並行して任売・競売検討中とのことですが、本物件を元本が毀損しない12億円以上で売却することは、個人的に非常に厳しい状況にあると言わざるを得ません。

     

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