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【悲報】maneo沖縄県石垣市のホテルファンドは長期化すると思います

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maneoから「沖縄県石垣市ファンド」の遅延について、メールが届きました。

 

トッティは本ファンドで16万円つかまってます。

 

maneoの記事を書いても気分が悪くなるだけですが、「maneoはせめてネタにする」くらいしかアホな僕は思いつきません。

 

  

沖縄県石垣市ファンドの概要

 

  • 借り手:不動産事業者O
  • 融資目的:ホテル開発用地の取得のため
  • 貸付金額:6億円
  • 担保物件:沖縄県石垣市の土地26,300㎡
  • 売却予定価格:8億円
  • ノンリコースローン
  • 貸付時期:2018年4月

 

出ました!甘酸っぱい「売却予定価格」!

 

遅延が発生した経緯

 

これまでの経緯を箇条書きするとこちらです。 

 

  1. 借り手(O)が2018年12月末に、ホテルの開発許可申請を行い、それをもって大手建設業者が対象地を購入する予定だった。 
  2. しかし、ホテルのオペレーター選定に苦戦して、開発許可に必要な事業プランが作成できず、延滞。
  3. オペレーター選定とは別に、マネオが別ルートで購入希望者を探している
  4. 取引先の不動産開発事業者から購入希望があったものの、債権額を大きく下回っている(足元見られている?)。
  5. 今回は、債権額満額には至らないが、当初より高い金額での買付証明書を受領したとの報告あり。

 

売却予定価格はホテル建設後の事業収支を前提とした土地価格

 

土地のほか、一部に小さな建物もあるようですが、ホテルを開発をする際に既存建物は取り壊すと思います。建物価値をゼロとすると、

 

売却予定価格8億円 ÷ 土地面積26,300㎡ ≒ 土地単価30,000円/㎡

 

所在や用途地域もわかりませんので断定はできませんが、リゾートホテルなので、対象は海沿いか、内陸の自然の中にあるんでしょう。

 

「開発許可が必要」と書かれているので、造成が必要な土地、つまり林地や傾斜のある原野、雑種地などが考えられます。農地というケースもあるかもしれません。

 

山林や農地、原野なら土地単価は数百円/㎡、雑種地だとしても土地価格5,000円/㎡以下でしょうね。

 

売却予定価格では土地単価30,000円/㎡となりますが、開発前の土地としては30,000円/㎡は高いので、売却予定価格は「ホテル建設後の事業収支を前提とした土地価格」になっているはず。

 

このままホテルを開発できず、現況のまま土地を売ったとすれば(高く売れたとして)、土地単価5,000円/㎡で計算すると、

 

5,000円/㎡ × 26,300㎡ ≒  1.3億円

 

です(私見です)。

 

8億円はおろか、債権額である6億円での売却は厳しいと思います。なので、ホテルを開発しないという選択肢は絶対に避けたいところかと。

 

開発許可の取得には調整が必要

 

今回のような「開発型ファンド」はリスクが大きいですね。竣工前の案件は、開発がデフォルトするリスクと常に隣り合わせです。

 

今さらながら、これだけリスクが高くて利回り5.5%って低すぎますね・・・投資してしまったことに反省しかありません。

 

それに開発許可の取得には膨大な時間がかかります。

 

例えば、トッティが山林に太陽光発電施設を開発する際の鑑定評価を行ったときは、クライアントが行政に”開発許可の申請をするだけで半年”かかったこともあります。

 

開発許可は、「行政が事業計画を見てから許可を出す」という順番です。

 

今回のケースでは、「ホテルのオペレーターが決まらないので、事業計画も出せない」という状況。

 

仮に運よくオペレーターが決まったとしても、開発許可までの道のりは長く、行政の各部署との調整が必要です。


maneoからのメールでは、「開発許可申請」をもって大手建設業者が対象地を購入する予定とありますが、行政は基本的に「開発許可がおりる見込の物件にしか申請を受け付けない」ので、申請前の段階で、各部署との調整をすませておく必要があります。

 

一概には言えませんけれども、行政は縦割りで仕事が超遅い。

 

開発許可の申請に必要な調整には、相当な時間がかかることもあります。

 

リゾートホテル市況は2極化が進行

 

本件では「ホテルのオペレーターが決まらない」ことが問題になってますので、オペレーターの立場から、最近のリゾートホテルの投資市場を分析しておきますね。

 

リゾートホテルは、投資の規模が大きいほど選考される傾向にあります。

 

なので、対象の規模が26,300㎡と大きい点はプラス要因かと。

  

優良な投資物件は積極的に検討する動きがある一方で、ホテルの立地や客室のスペックが劣る物件では需要が低く、2極化はより鮮明になっています。

   

オペレーターは優良物件を選別するので、優良物件は安定的な需要が期待できますが、競争力の低い物件では市場性が低下している状況です。

 

ホテルは競合ができると、経営が苦しくなる傾向にありますが、ざっとみた感じでは石垣島には競合となりそうなリゾートホテルが多そう。

 

これから対象地に開発するホテルに競争力はあるのか?という点もオペレーターが重視するポイントです。

 

つまり、ホテル開発は「立地」と「想定建物プラン」にかかっている。

 

オペレーターは、当然これらの分析はするはずですので、オペレーターがうまく決まらない理由は、ホテル市況分析や事業プランが甘いのかもしれません(私見です)。

 

本ファンドは、まだまだ先行きが不透明なうえ、maneoは既にやる気も失っているでしょうから、長期化する可能性が高いと予想されます。

  

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