今更ながらラッキーバンクの元本毀損についての公表文を読みましたが、これ、内容ひどすぎるでしょ!(ラッキーバンクは投資してなかったので、今まで読んでませんでした)
ご存知ない方のため、本件はラッキーバンクで融資先の債務不履行により、担保物件を売却し元本を回収することになったものの、当初60億円の評価であった担保物件が競売評価では16億円(約27%)になってしまったという件です。
ラッキーバンクからの公表文から一部抜粋
本年10月末時点の両社の全担保不動産について、弊社が試算した不動産競売による売却見込価額は、総額約19~20億円となりました。この金額は、弊社がファンドの募集時に評価し、公表していた不動産調査価格の約60億円の約3分の1となっておりますが、これは、一般的に、不動産調査価格は不動産の収益を考慮して価格を算出するものであるのに対し、不動産競売における売却の基準となる価格は、原則として不動産の収益を考慮せず、公示地価等の積算価格により算出するため、このようなかい離が生じたものです。
いやいや、競売評価だって収益性を考慮することあるがな!(*'へ'*)
競売評価は「競売市場修正」という掛目を乗じますが、掛目を乗じる前は普通の一般評価と同じく実勢価格を求めてますからね!価格の求め方は一般の評価と同じですよ。
競売だから積算価格のみというのは間違いで、賃貸用不動産や事業用不動産であれば競売でも収益価格を査定しますよ。
評価する物件に収益性があれば一般評価でも競売評価でも収益価格を求めるし、収益性がなければ両者とも収益価格を求めない。だから、
「不動産競売における売却の基準となる価格は、原則として不動産の収益を考慮せず」という文言は完全に間違いです。
収益価格を査定するなら両方する、しないなら両方しない。これがズレてるのはラッキーバンクの担保評価と競売評価のどちらかが間違っている、それだけ!「積算価格と収益価格だから、公示価格だからモニョモニョ...」はズレた議論!投資家が混乱するでしょ...。
今回のラッキーバンクの担保物件が何なのか分かりませんが、本当に突っ込むべきところは、本文中の...
「公表していた不動産調査価格」って何をどうやって査定したんですか?!
ってことです。
まだありますよ。まるで積算価格と収益価格は乖離するのが当たり前だと読み取れますが、両者は相互補完の関係にあるので理論的には一致するはずですからね。
積算価格=収益価格=市場価格が基本です。公示価格(土地価格)だって基本的に市場価格なんですよ!逆に市場価格じゃない価格を査定することに何の意味があるんですか?
だから「積算価格だから収益価格より低い」「公示価格だから土地価格が低い」という決め付けも間違いです。
新卒1年目が適当にネットで調べながら書いたのかな、この公表文。周りに不動産に詳しい人がいなかったのか...。
控え目に言っても、かなりヤバい会社だということが分かったラッキーバンク。不動産扱っててこんなことも分かっていない会社にお金を預けるのは危険すぎ...。
繰り返しますが、一般評価と競売評価の違いは競売市場修正があるかないかです。競売市場修正とは、競売には特有の買主負担リスクがあるため、評価額に一定の掛目を乗じて減額します。
競売市場修正の掛目は地域や物件の個別性によってピンキリですが、60億円が16億円になったということは
...マイナス73%!
あまりにも乖離しすぎです。
不動産鑑定士が査定したという競売評価の16億円が正しいとすれば、当初評価の60億円がおかしいですよ...。
本件、ただ単にラッキーバンクで査定した当初の担保物件の収益価格60億円が間違ってただけでしょ...。
That’s all!
何をどうやって査定したのか知り得ませんが、根拠不明な担保評価のミスを競売評価へ責任転嫁(競売評価をした不動産鑑定士のせい)にしないで下さい!不動産鑑定士が見たら怒りますよ(*'へ'*)。そしてもっと怒っているのは投資家ですよ...。
現場からは以上です。