不動産クラウドファンディング投資研究所

サラリーマンを卒業した不動産鑑定士が、不動産クラウドファンディングに投資してみた

CREAL投資前に確認!区分所有マンション投資の注意点を不動産鑑定士が解説

f:id:investment-totty:20190212233416j:plain

 

本日19時からCREALの新規案件「ステージファースト笹塚」の募集が開始されます。

  

不動産投資型クラウドファンディングは、ネット上に物件情報が開示されるので、ソーシャルレンディングよりも透明性が確保されてます。これが最大のメリットですね。

 

ただ、今回のファンドは小口の区分所有マンションであることから、公表された情報はホテル案件のような正式な鑑定評価ではなく、簡易調査となってます。

 

 

物件の評価手法

 

物件評価を担当しているのは「JLL森井鑑定」です。

 

採用している手法は、「取引事例比較法」「収益還元法」の2種類で、正式な評価ではこれに「原価法」も加わるはずですが、2,000万円程度の小口案件で運営側の実入りも少ないため、原価法は省略されてます。

 

区分所有マンションの原価法は、けっこう面倒な査定になるので個人的にも「原価法は省略されても仕方ないよな...」と思います。

 

実際に公表されている資料からは、専有部分の位置などが分からず、階層別・位置別効用比により求めた配分率が査定できないので、僕の方でも原価法は査定できません。

 

《不動産豆知識》

「原価法とは」

まず一棟の建物及びその敷地の積算価格を査定し、この価格に階層別・位置別効用比に基づく対象不動産の配分率を乗じ、さらに対象不動産の個別的要因を考量して、積算価格を試算する手法のこと。

「取引事例比較法とは」

周辺地域に存する立地・規模・方位等が類似するマンションの取引価格に、時点修正や各種要因格差修正を行って価格を求める手法のこと。実際の取引価格が基になるので実証的な価格になる。

「収益還元法とは」

価格時点において新規に賃貸することを想定し、総収益から総費用を控除して求めた純収益を還元利回りで還元して収益価格を求める手法のこと。収益性の観点から市場価値を把握でき、投資採算性を反映した価格。

 

今回採用している取引事例比較法と収益還元法についても、森井鑑定は詳細な査定は行ってないと思います。かなりざっくりと評価してるはず(それは悪いことではありません。簡易評価なので)。

 

中古マンション評価で重要な点は?

 

中古区分所有マンションの評価で最も重要なのは、「立地」すなわち

 

周辺に新築マンションの供給があるかどうか

 

です。 日本人は新築マンションが大好きだから、というのがその理由です。

 

周辺に新築マンションが供給されれば、競争力のない中古マンションの成約価格は一気に下落してしまいます。

 

区分所有の個別的要因

 

中古マンション市場では一般的に築年の新しい物件が好まれますが、

 

中古の物件同士であれば、建物の維持管理の良否などの個別的な要因

 

が価格に大きく影響します。

 

《不動産豆知識》「区分所有の個別的要因」

建物に係る要因

  • 建築(新築、増改築、移転)の年次
  • 面積、高さ、構造、材質等
  • 設計、設備等の機能性
  • 施工の質と量 
  • 建物の階数
  • 維持管理の状態 など

専有部分に係る個別的要因

  • 階層・位置
  • 日照、眺望、景観の良否
  • 室内の仕上げ、維持管理の状態
  • 専有面積、間取りの状態
  • 隣接不動産の利用の状態
  • エレベーターなどの共用施設の利便性の状態
  • 敷地に関する権利の態様、持分
  • 区分所有者の管理費などの滞納の有無

  

今回の物件の所感

 

f:id:investment-totty:20190212231517p:plain

 

今回の物件では、外観写真を見る限り、一棟の建物は維持管理の状態は普通かな、と思います。僕も森井鑑定に負けず劣らず超ザックリですねw

 

なので、物件価格が気になる方は、ご自分でネットか何かで築年が同程度の周辺の中古マンションと比較してみて、価格が同程度なら大きく価格をはずすことはないと思います。

 

あとは、総戸数に対して駐車場の収容台数などが分かればよいのですが...。例えば駐車場が不足しており、周辺の類似マンションとの比較においても充足率が低い場合、競争力が劣る要因となります。

 

重要なのはCapレート

 

区分所有の場合、区分所有特有のリスクを考慮するため、その分のCapレートが高くなります。

 

1棟まるまる保有する場合と異なり、他の居住者の存在が運用に悪影響を及ぼすこともあるから、そのリスクを事前にCapレートで考慮しておく、というのがその理屈です。

 

今回の案件でCapレート4.0%を見て、僕は「区分所有リスクを考慮した割には若干低いかな」と思いました。まあ、実際の物件を見て調査してみないと適正さは分かりませんが...。

 

2,000万円そこそこの物件で、これ以上Capレートを上げてしまうと物件価格がもっと低くなってしまうので(募集金額が少なくなるので)、運営側はできるだけ下げたい気持ちもあったかもしれませんね。

 

詳細は分かりませんが、とりあえず許容範囲にはあるかなと思ったので、個人的には10万円投資してみたいと思います。 

  

CREAL公式ページへ