不動産クラウドファンディング投資研究所

サラリーマンを卒業した不動産鑑定士が、不動産クラウドファンディングに投資してみた

【COZUCHI】新ファンドは八丁堀の開発用地!

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COZUCHIから新ファンドが来ましたね!

 

今回は「相続絡み」の案件で、第一印象としては「不動産鑑定士の民法の試験問題になりそうだな~」と思いました。試験問題になるようないい案件です(笑)。

 

しかしまあ、COZUCHIさんの情報公開レベルは量も質も圧倒的ですね。

 

関係者ではない僕ごときがブログで案件紹介するよりも、もう「COZUCHIのサイトを見てください!」と一言で終わらせた方が良い気がしています。

 

ただ、相続絡みの不動産は鑑定士の領域でもありますし、こういう事例は不動産実務でも散見されます。ですから、若干でも補足できればと思い、駄文で恐縮しますが書いてみたいと思います。

 

今回のケースは法律が絡むので、弁護士以外が踏み込むと非弁(弁護士以外が弁護士のみに認められている行為をすること)になるリスクもありますし、慎重に書かねばなりませんね。

 

※同様に、不動産鑑定士以外が不動産の鑑定評価をすると違法になる可能性があります。

 

繰り返しますがCOZUCHIさんの情報提供がうますぎるので、そちらを読んでもらえれば十分です!

 

→COZUCHI

 

 

中央区八丁堀 開発用地の概要

 

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(引用)COZUCHI

 

  • 物件名:中央区八丁堀 開発用地
  • 所在地:東京都中央区湊3丁目14-4
  • 東京メトロ日比谷線「八丁堀」駅 徒歩7分
  • 募集金額:117,000,000円
  • 想定利回り:6.0%(年利)
  • 優先劣後出資比率:優先82.4%、劣後17.6%
  • 募集区分:抽選
  • 募集期間:2021/10/14 19時~10/18 13時

 

募集開始が10月14日と近いのは注意してくださいませ。ただ、抽選なので余裕はありますね。

 

さて。今回のケースは相続絡みです。COZUCHIの解説をそのまま貼り付けて、適度に解説するという楽々スタイルで行かせていただきます!

 

権利関係が複雑なため、割安な価格で取得

 

本プロジェクトは、東京メトロ日比谷線「八丁堀」駅から徒歩7分にある古家付き開発用地(以下「本物件」といいます。)を投資対象としております。

 

本物件は、現売主(A氏)が転居のため売却することとなりましたが、一部建物を親族が所有するなど権利関係が複雑なため買手がなかなかつかず、割安な価格となっておりました。事業者が、本物件の権利関係を弁護士等と精査した結果、開発用地として案件化することが可能と判断し取得に至りました。

 

(引用)COZUCHI(下線は筆者)

 

なるほど。まず前提として今回は権利関係が複雑であったため、相場より割安で取得できたということです。

 

本件は「開発用地として案件化」がポイントだと思います。

 

【関連記事】【すごいじゃないかCOZUCHI】高利回りの理由は開発用地の投下資本収益率だから

 

物件の立地については後述しますが、中央区八丁堀の隅田川沿いであれば、賃貸や分譲高層マンションの需要が強いエリアですので、新たな使用方法で価値が生まれる可能性があります。

 

そこに目を付けられ、組成されたのが本ファンド、というわけです。

 

本プロジェクトの権利関係

 

本物件は、従前、親族であるA氏とB氏がそれぞれ所有しておりました。A氏が土地の100%及び建物の約50%を、B氏は土地は持っていなく建物の残り約50%を所有しておりました。

 

このような権利関係上、A氏がB氏に土地を貸している状況にありましたが、A氏からは、親族ということもあり、土地の賃料等の支払いは免除しており、B氏はいわゆる使用貸借契約(※)により土地を利用し所有する建物に居住していたとの説明を受けています。

 

※使用貸借契約とは、動産や不動産を有償で貸し付ける契約が「賃貸借契約」であるが、無償で貸し付ける契約は「使用貸借契約」と呼ばれます。無償で貸し付けているため、期間の定めのない使用貸借契約においては、貸主は原則としていつでも借主に対して契約を解除し、物の返還を要求することができます(民法第597条)。

 

(引用)COZUCHI(下線は筆者)

 

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(引用)COZUCHI

 

COZUCHIにも解説があるとおり、使用貸借の事例です。

 

使用貸借という言葉は馴染みがない方もいらっしゃるかもしれませんが、不動産実務においては、主に個人間の貸し借りのケースで稀に見かけます。個人差はありますが、1年に2~3回見かける程度でしょうか。

 

ポイントとなる使用貸借契約の消滅

 

その後、B氏が2020年12月に死去することによって、法定相続人C及びD氏(以下「法定相続人」という)へ所有する建物の相続が発生しましたが、使用貸借契約は相続の対象とはならないため消滅することとなります。

 

この使用貸借の消滅(※1)によって、B氏から法定相続人に相続される建物は取り壊して更地として返却する義務が生じましたが、法定相続人もご高齢ということもあり、コロナ禍での面談は延期したい旨の連絡があり面談に至っておりません。このため、B氏の死去から約9カ月の期間、法定相続人の債務不履行(※2)が継続している状況となっております。

 

※1 使用貸借の消滅とは、民法597条3項は「使用貸借は、借主の死亡によって終了する。」 と規定しており、使用貸借契約に基づく利用権は相続の対象にはなりません。
※2 債務不履行とは、正当な理由なく債務の本旨に従った履行をしないことを「債務不履行」といいます。

 

(引用)COZUCHI(下線は筆者)

 

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(引用)COZUCHI

 

これも民法の条文まで含めて丁寧な解説があります。

 

COZUCHIの説明にあるとおり、使用貸借は相続の対象にはなりません。 原則として、借主の死亡によって使用貸借関係は終了します。

 

ちなみに同族関係者間の譲渡価額については、税務署が考える適正な時価によらない場合には思わぬ課税が発⽣することがありますので、鑑定側も慎重になるケースです。

 

相続財産に含まれるものにはプラスの財産(不動産,預貯⾦,現⾦,有価証券など)のほか、マイナスの財産(⾦銭債務(借⾦,賠償⾦))も含まれますが、

 

本ケースではコロナだったということもあり、3か月以内の相続放棄(民法938条)ができず、9か月間の債務不履行状態が発生しているようです。

 

弁護士と精査後、割安に取得

 

このような状況の中、土地を100%所有するA氏は転居のために本物件を売却することとなりましたが、上述のような債務不履行状態にあるなど権利関係が複雑なため、買手がなかなかつかず、割安な価格となっておりました。

 

本件に関し事業者であるTRIAD社の顧問弁護士からは、面談等の手段で建物の撤去が進まない場合は、法律的に建物の取壊し及び土地の返還を求めることができ、仮に裁判所への訴え等を起こした場合、訴えは認められる蓋然性が極めて高いという弁護士の見解を取得しています。

 

このため本物件取得後、更地化することは問題なくでき、開発用地として売却することが可能と判断し取得に至りました。

 

(引用)COZUCHI(下線は筆者)

 

相続の現場において、税理士や不動産鑑定士が相続税対策の事情を聞いて交渉・説得などすると非弁になる危険性もあるので(弁護士しかできない。コンサルでも危ない)、個人ブログとはいえ、法的に断定するのは危険かなと思います。

 

そもそも法律に関する知識も十分ではないですし。

 

※但し、交渉の材料を作るのは弁護士以外でも問題ありません。ちなみに刑事事件になるとアウト。非弁になる。

 

もろもろあって、対象不動産を古家付きで取得後、更地化することは問題ないと弁護士さんが判断されたとのことです。

 

法的観点は弁護士さんの分野ですが、不動産の観点から見れば、使用貸借とはいえこれまで建物及びその敷地の一部に使用収益を制約する権利が付着した状態であったものが、取壊し更地化することで完全所有権となります。

 

建物があることによる減価(建付減価といいます)が発生していたものを、更地化すれば完全所有権とすることで建付減価が解消できるため、不動産価値の上昇が見込めるのが本ファンドです(細かな税制は後ほど触れます)。

 

ということで、今回もCOZUCHIさんの仕入れ力が発揮されたファンドですね。

 

ちなみに以前、COZUCHIを運営するLAETOLIの入澤さんにどうやってこういう物件を見つけるのかお聞きしたところ、社長の武藤さんの顔がメチャクチャ広いとご回答いただきました。

 

紛争発生時の対応

 

弊社顧問弁護士の見解によると、建物の取壊し、土地の引渡しは法律的に正しいと考えております。

 

しかしながら、法定相続人が建物の取壊し等を拒否し裁判に至る可能性はゼロではありません。この場合事業者は裁判所への訴えによって、解決することを考えておりますが、訴訟となった場合は、ファンド運用期間中に本物件の売却が出来なくなる、或いは、本ファンドの運用継続そのものが困難になることが想定されます。

 

このため、訴訟となった場合は、約款の定めに従い本ファンドの1号事業者であるTRIAD社が、投資家様の優先出資を買い戻しすることを予定しております。

 

(引用)COZUCHI(下線は筆者)

 

この辺は不動産の流動性リスクですが、事業者にとってデメリットになる部分もしっかり書かれていて好感が持てました。

 

不動産の観点から見ればこのままでは建物課税されてしまう可能性もありますし、建物の固定資産税評価額は、築年数が新しい場合、新築時の評価が時価の50%前後となっているため割安となりますが、建物が古くなると経年減点補正率の下限が0.20となるため、逆に割高となってしまいます。

 

税務では実質的な帰属者に対して課税しますが(名義財産)、名義財産の判断基準の一つに、「その財産の管理・運用を誰がしていたのか」「その財産から生ずる利益を誰が享受していたか」があります。

 

※名義財産:名義人と真実の所有者が異なる場合の財産のこと。

 

今回のケースでは元々Bが住み、利益を享受していたとはいえBの法定相続人とAとの間で税負担面でも争いになる可能性も否定できないのではないでしょうか(あくまで勝手な推論です)。

 

A、Bの法定相続人のどちらが建物税金を負担するにせよ、建物は取り壊すことで税務リスクを回避できる一方、建物があることで土地の税金負担が軽減できる(通常6分の1になる)というメリットもあります。小規模宅地等の特例もありますし。

 

一方で建物を取り壊し、更地としての最有効使用(本件であれば賃貸マンション?)を実現すると不動産価値も上昇します。

 

ですから、税務リスクと最有効使用の実現による収益性向上+売却のタイミングを天秤にかけつつ、そもそも元の所有者は引っ越されてますから使っていないことも鑑みると、個人的にはCOZUCHIさんと同様、取壊した方が得策かなと思いました。

 

あと、投資家から見たポイントとしては、仮に法定相続人が建物取り壊しを拒否して訴訟になった場合でも、トライアドさんが優先出資分を買い戻ししてくれるようです。

 

この点は安心材料ですね。

 

配当シミュレーション

 

本物件が所在するエリアは、大型のタワーマンションやワンルームマンションなど活発な開発が行われているエリアとなっております。

 

八丁堀駅から東京駅までは電車で約2分であり、丸の内等の東京エリア勤務のビジネスマンに人気が高く、また銀座エリアへもアクセスが極めて便利でありスーパー等の生活に必要な施設も充実しています。このため、単身者やDINKS向けのマンションを開発するデベロッパーへ売却が適しているかと考えております。

 

(引用)COZUCHI(下線は筆者)

 

立地の説明についてはCOZUCHIの書かれているとおりかと思います。

 

土地の面積が85.48㎡と小さい点がやや気になりますが、中央区の臨海エリアであれば、典型的な市場参加者としてマンデベへの売却が適していると僕も思います。

 

八丁堀は銀座への接近性も優れますし、墨田川沿いでは変化に富んだ眺望も楽しめます。臨海部にも近く子育て世代にも人気でしょうし、同業者によるとコロナであっても、最近では臨海部の分譲マンションの価格は再び上昇しているという話もあります。

 

 

中央区の臨海側は生活利便施設の拡充も続くエリアですし、個人的には少なくとも中央区の分譲マンションの価格の上昇が当面は続くとみています。

 

ちなみにCOZUCHIさんは新築レジデンスの利回り4~5%と記載してくれています(これは賃貸マンションの利回りですね)。

 

COZUCHIには不動産鑑定士さんもいらっしゃいますし、さすがだな~と思いました。

 

もしかしたら中央区の八丁堀であれば、もっと利回りを強気にみる個人投資家もいるかもしれませんね(≒高く買う投資家もいそう)。夢はあります。

 

賃貸マンションで八丁堀のレジで新築であれば晴海、月島、豊洲等と並んで3%台という低利回り(≒高い不動産価格)もあり得る立地ですし、東東京では山手線隣接エリアと並ぶ上位エリアです。

 

ただ、くれぐれも八丁堀の中でもトップクラスの立地であれば、という意味ですので、規模や立地等の個別性も考慮した本来の利回り水準で見れば、COZUCHIさんの4~5%が正しいと思います。

 

つまり、何が言いたいのかというと、「客観的に見ても売却利回りが想定できるほどの好立地」であることは言えるのかなと。

 

※直接物件を見たわけではありませんので、個別的要因の詳細は把握しておりません。あくまで部外者の一意見ですので、参考程度にしてください。

 

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(引用)COZUCHI

 

ちなみに↑のCOZUCHIの配当シュミレーションを見ると、坪467万円で売却できれば優先出資者(投資家)の損失は回避できるとのことです。

 

「で、実際に売れるのか?」という土地価格については勝手に書くと迷惑かな~とも思いますし、僕自身も気軽に査定するとリスクもあるので控えさせてください。

 

ただ一言書くとすれば、COZUCHIさんがマンデベに開発用地として、つまり建物を取り壊して更地として売られるのであればガチンコ勝負ですね。

 

どういうことかと言うと、中古不動産の取引の場合、消費税の申告義務のある売り⼿側が都合のよい建物価格を提示して売買されるケースも見られるため、建物価格が割安に査定されるリスクがありますが、更地であればそれはできませんので。

 

まとめ

 

おぉ・・・今回は6000文字を越えてしまいました。長くなってしまったので(半分はCOZUCHIさんのコピペですが)、そろそろまとめます。

 

  • 対象不動産の権利関係が複雑なため相場より低く取得できた。
  • 建物を取り壊して更地化すればマンデベに売却でき価値の上昇が見込める。
  • 訴訟リスクがあるものの、訴訟になれば優先出資分をラエトリが買い取ってくれる。
  • 中央区八丁堀はマンション需要が強い。マンション価格も再度上昇傾向にあり、素地需要も強い。

 

もちろんリスクもありますが、リスクのない商品なんてこの世に存在しませんし、リスクこそが利回りを構成します。

 

総合的に見て、僕は「不動産クラファン玄人向けの好ファンド」だと思いました。

 

同一所有者に帰属して完全所有権となることにより、不動産価値は高まる。もめているところを安く買ったため、価値の向上が見込める。結局は更地価格が一番高くなるので、更地で売却を目指す。

 

つまり、不動産は対策をしっかりして取得すれば価値が生まれる︕

 

今回のキモは「仕入れ」だと思いますが、「再生」という意味でもいい物件だと思いました。

 

今回も好ファンドですし、おもしろいと思います。本ファンドに興味が出た方は、ぜひCOZUCHIでのぞいて見てください。

 

→COZUCHI

 

それでは乱筆乱文を最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

明日も一日、健やかにお過ごし下さい。

 

\今最も注目の不動産クラファン

COZUCHI