各種メディアでマネオなどに対する集団訴訟が大きく報じられている。
昨今はみんクレ、ラキバン、トラレンなど悪質な詐欺被害が相次ぎ、既にソーシャルレンディング業界に対する世間の印象はドン底にあった。
投資家やブロガーも、ネガティブなニュースにはもう満腹状態にあった。だが、これでもまだ序章に過ぎなかったのか....。
もちろん、健全な運営をしている業者もある。それらの業者は、ソーシャルレンディングに対するネガティブな印象によるダメージは図り知れないだろう。
今、各ソーシャルレンディング業者がこぞってキャンペーンなどを連発しているのは、業界に対する危機感の裏返しではないだろうか。
マネオは2007年8月30日に設立された、日本におけるソーシャルレンディングの先駆けである。現時点(2019年3月8日)では、
- 成立ローン総額:1,587億7,749万円
- 登録ユーザー数:85,483人
という我が国最大規模のソーシャルレンディング業者になっていた。
今回の提訴に関するニュースが大々的に報じられ、ほとんどのメディアはまるで「悪代官を正義がたたく」のような記事に仕上げている。
もっと本質的な「金融庁による匿名化制度」が諸悪の根源であることには一切触れず。まあ、それについては今回はさておき。
これで業界を牽引してきた王者マネオは完全に失墜するだろう。
いや、ソーシャルレンディングで投資してこなかった人は分からないかもしれないが、マネオの異変は今回のニュースに始まったことではない。
2018年秋ごろまでは、マネオは稚拙なファンド組成・担保評価をしていても、それが大きく表面化することなく、2018年7月に行政処分はあったものの、日本一の実績と業界全体の成長という勢いも追い風にして、多くの投資家がマネオで投資を続けた。
....2018年11月に明らかになった大量遅延までは。
その後のマネオのゴタゴタは、マネオで投資していた投資家が良く知るところである。
このブログでも散々「マネオやばい!」と警笛を鳴らしてきた。
日本一の実績を持っていたマネオからソーシャルレンディングを始めた投資家も多いと思うし、私もマネオが最初だった。
現時点で個人的なクラウドファンディングの総投資額1,321万円のうち、269万円をマネオで運用している(その内の約100万円が拘束されている状態にあるが......)。
ただ、自分でマネオについて調べれば調べるほどファンド審査体制も甘く、担保評価は「激アマ」(不動産専門家から見ると信じられない程低レベル)ということが分かった。
期失に対する対応も遅く、これだけ悲惨な大量期失が続きながらトップによる説明もなく、元本回収活動としてただ「薄っぺらい」内容の進捗メールが送られてくるだけ。
また、2019年7月の行政処分に対し、2019年3月4日にマネオから公表された「業務改善命令に基づく改善策の経過報告」を読む限り、マネオは既にやる気も失っているようにも思えた。
マネオは何も変わろうとしなかった。多くの投資家やブロガーたちがいくら発信しても焼け石に水であった。
一度マネオを離れた投資家はもう戻ってこないだろう。
投資先が見える不動産投資型クラウドファンディングであるCREAL、FANTAS fundingなどが登場し、貸付先匿名化の欠点を補う新業者Fundsも登場したからだ。
そして、OwnersBookやSBIソーシャルレンディングなどの「本物の」ソーシャルレンディング業者も新規参入に負けじとがんばっている。
だからもうこれ以上、少しでも業界を知っている投資家ならば、マネオで投資する意味が見いだせない。
もう一度言うが、本物を知ってしまった投資家は、マネオには戻ってこない。
したがって、マネオはまだソーシャルレンディングについてよく知らない新規参入に頼るしかなくなるが、そのパイも限られているだろう。
今回の提訴を受け、マネオは変われるのだろうか。
『熱い思いを持つ事業者に、投資家が安心して投資できるインフラの提供』
これがマネオのビジョンだったはず。
『健全なマーケットの創設』
これがマネオのミッションだったはずだ。
マネオでソーシャルレンディングを知り、マネオでいくらかの収益を得た者として(期失分がどうなるか分からないが)、崖っぷちにいる今こそ、マネオには変わって欲しいと思う。
これまでマネオは投資家に耳を傾けてこなかったが、投資家の声を聴いて欲しい。別に業界トップじゃなくてもいいではないか。高利回りで投資家をつらなくてもいい。そのビジョンどおり、本当に安心して投資できるインフラ作りを目指して欲しい。
個人的にはもう2度とマネオで投資することはないが、少なからずまだマネオを信じて投資を続ける人達もいる。
その人達のためにも、本当の「誠実」とは何か、マネオにはもう一度、考え直して欲しい。
※クラウドファンディングは、元本を保証する商品ではありません。”必ずご自分で”納得するまで調べ、リスクを許容した上で、投資してください。