COZUCHI(旧WARASHIBE)からニュースが入りました。
本ブログでも記事にしていた7月9日に募集開始予定だった「渋谷松濤エリア」ファンドが募集中止になってしまいました。
その理由は、事前に売却交渉を進めているうちに、売却が想定よりも早まる可能性が生じたとのこと。これにより、ファンド募集が中止されることになりました。
つい先日、こちらの記事(↓)で「不動産をぴったり予定どおりに売却するのは難しい」と書きましたが、今回の件も「その一言に尽きるのかな」と思います。
あとは、「やっぱり流動性の高い物件だったんだな」と思いました。
今回の渋谷物件は、個人的に近くに住んでいたこともあり(僕は富ヶ谷の庶民向け単身マンション(騒音あり)ですが)、かなり自信を持って「堅い」ファンドとして本ブログでも紹介していました。
富裕層やインバウンド向けにもニーズがありそうでしたし、COZUCHIサイトでもそのように紹介されていたと記憶しています。
なので、COZUCHIの選んだ物件自体は流動性の高い優良不動産だったことが、一つの収穫だったかなと思います。
まあ、もちろん楽しみにしていた案件なので、残念ではありますが・・・これはしょうがないと思います。6ヶ月の短期運用ですしね、事前に売却に動かないといけないでしょうし。
・・・と、ここで終わるとちょっと切なくなってしまうのですが、COZUCHIから代替ファンドが準備されました。
ちょっとおもしろい内容だったので、今回はその代替ファンドを見ていきたいと思います。
COZUCHI江東区東陽町区分マンション
- 利回り:4.5%
- 運用期間:6ヶ月
- 募集金額:1600万円
- 劣後割合:20%
- 運用開始:2021年7月16日19時~
※投資額3%分のAmazonギフト券プレゼントも本案件に引き継がれます。
COZUCHIの代替ファンドがこちらです。
今回の「東陽町区分マンション」はスキームがおもしろいなと思いましたので、いつものように物件や立地について書くのではなく、スキームについて紹介してみたいと思います。
まず、COZUCHIサイトの内容を拝借して、簡単に整理させていただきました。本物件の取得の経緯がこちらです。
- 前所有者は不動産事業者。リースバックで相場より安く取得した物件。
- 入居者退去後に居住用マンションとして販売を目的に保有していた。
- でも、想定よりも保有期間が長引きそう。物件をオフバランスしたい。
- そのニーズに応える形で、SATAS(COZUCHI運営)が割安な価格で取得した。
※リースバック:売却した後も家賃を払い、賃貸として住むこと。
ようは、「ある不動産会社が今回のマンションを「居住用マンション」として販売するために購入したけれども、リースバック契約で居住者が賃貸で入居している。
そのかわりに物件価格は安く仕入れられたが、住んでる人がいるので商品化まで時間がかかりそうだ。
その不動産会社は、今後も他の物件を仕入れ続けたいので(借入の負債を抑えたいので)、物件をオフバランス(負債をBSに計上せずに軽く)したい。
この相談を受けたCOZUCHI(SATASさん)が、相場より約37%安く取得した(詳細は下記)」、という流れです。
これって、J-REITのようですね。セールスアンドリースバック物件をSPVという器と使ってオフバランスする手法は、証券化のスキームでも使われます。
さらに言うと、オフバランスしたい物件を代わりに持ってあげる(資金を出す)という意味で、ソーシャルレンディングにも近いですね。
ただ、ソシャレンのように担保物件(抵当権)としてではなく、不動産を自由に処分することもできる所有権を持っている。
こういう不動産クラウドファンディングの使い方、初めてではないでしょうか。
取得金額について
取得金額については、COZUCHIサイトによると売出価格208万円/坪に対して取得価格133万円/坪、約37%ディスカウントできたとのことです(その理由は、リースバックとオフバランス)。
売却についてもCOZUCHIサイトに説明があって、現在の入居者が退去した場合は、前所有者が買い取りたい意向があることから、
- ①前所有者に簿価に10%を上乗せして売却
- ②他社により高値で売る
などをCOZUCHI(SATASさん)が選択でき、いずれの選択でも取得価格が割安なのでキャピタルゲインが見込めるとのことです。
これって、現時点では入居中の賃借人の退去は予定されていないわけなので、インカムゲイン重視型ですが、売却された場合は「EXITファンド」のようにキャピタルゲインがもらえるファンド、ということになりますね。
ようは、仮に不動産価格が下落しても37%安く購入しているから吸収できますし、万が一、不動産会社がデフォルトしても物件を売却すればキャピタルゲインを狙えます。しかも、投資家には20%の劣後割合もあるので堅さも十分。
今は6ヶ月後に入居者が退去する予定はないことから安定したインカムゲイン型だけれども、仮に退去したらしたでキャピタルゲインも狙えるファンド、という内容です。
おわりに
立地を含めた物件自体で優れる渋谷マンションに対して、代替ファンドの東陽町ファンドはスキームで優れるんじゃないかな~と思いました。
おもしろいですね。不動産クラウドファンディングの新たな可能性を感じます。雨降って地固まる。
今回はスキームという側面からの分析で、物件自体の個別的要因を詳しく見ていませんという前提ですが(すみません。今ちょっとバタバタしてまして)、個人的には「堅い」案件じゃないかな、と思いました。
\今注目の不動産クラファン/