ラッキーバンク元本毀損の競売評価の矛盾を指摘したこちらの記事、驚くほど大きな反響がありました...!
(ラキバンに被弾された方の心中お察しします)
上の記事の中でも書いてますが、担保評価と競売評価の違いをもう一度整理しておきますね。まとめるとこちらです。
担保評価(一般評価)と競売評価の違い
担保評価(一般評価) | 競売評価 | |
ラッキーバンクの例 | 評価額60億円 | 評価額16億円 |
評価方法(賃貸・事業用) | 積算価格と収益価格 | 左に同じ |
評価方法(自用) | 積算価格 | 左に同じ |
競売市場修正 | なし | あり |
ラッキーバンクの件で、たまたま「担保物件は路線価で評価するべき」という意見を複数見かけました。もしかしたら路線価について誤解されている方も多いのかな~と思ったので、今回は路線価について簡単に解説したいと思います。
結論から言うと、
路線価は積算価格で土地価格を査定する際の目安の一つに過ぎず、かつそのままでは評価に採用できません。
いやー「何のこっちゃ」ですよね!
私も書いていて分かりにくいな~と思いつつ、がんばって稚拙な文章ながら説明してみます。
路線価とは?
路線価は「土地価格」を求める際の参考になります。路線価は不動産鑑定士が査定していて、その種類には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」があります。これらの路線価は地価マップで調べることができます。
相続税路線価は時価の80%、固定資産税路線価は時価の70%を目安に査定されます。
路線価はそのままでは時価水準ではないため、担保評価などで時価水準を把握するには相続税路線価は80%、固定資産税路線価は70%で割り戻すことになります(ちなみに地価公示は時価評価)。
相続税路線価 | 時価の80% |
固定資産税路線価 | 時価の70% |
地価公示 | 時価評価 |
担保評価 | 時価評価 |
また、路線価は全国の不動産鑑定士による同一時点の大量一括評価なので、担保評価のような個別案件と比較し精度が劣ります。
さらに、積算価格では路線価は「土地価格」を求める際の参考の一つ、収益価格では土地と建物の一体としての価格を求めるので、路線価は直接的に担保評価に影響しません。
しかも路線価は、時価評価で採用するには70%または80%で割り戻すことになるので、路線価自体はそのままでは時価評価に使えない、ということになります。
路線価 | 土地価格の70%または80% |
積算価格(担保評価) | 土地価格と建物価格の合計 |
収益価格(担保評価) | 土地建物一体で評価 |
なので「担保物件を路線価で評価すること」は、厳密には評価上できないということになります。
「担保評価を競売評価並みに保守的に査定すべき」ということが言いたかったのかもしれませんね。そうであれば、私も全く同意見で、担保物件は保守的に査定すべきだと思います。