不動産クラウドファンディング投資研究所

サラリーマンを卒業した不動産鑑定士が、不動産クラウドファンディングに投資してみた

クラウドファンディングで大切な3つの利回り【取引利回り・期待利回り・鑑定利回り】

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不動産の利回りって難しいよね....

 

確かに難しいけど、不動産投資型クラウドファンディングに登場する利回りは、とりあえず3つ押さえておけばOKです!

  

不動産投資型クラウドファンディングでは、主に3種類の利回りが登場します。

 

案件分析するならば、それぞれの利回りの意味を把握した上で分析した方がよいので、今回の記事では各々の利回りについて解説しました。

 

一部上級者向けの内容になってますので、興味がない箇所は、読み飛ばしてくださいね。

   

 

取引利回り

 

取引利回りは、市場で実際に取引された利回りで、取引時点の不動産の純収益を取引価格で割った利回りです。

 

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出典:J-REIT取得物件動向 - JAPAN-REIT.COM「2019年4月取得物件リスト」

 

リートの取得物件を例にすると、上記の「取得時CR」が取引利回りです。

 

最近のクラファン業者の中では、参考として「Jリートの取引利回り」をホームページ上で公開してくれたりしますね。

 

取引利回りは、実際の取引市場で得られる利回りなので信頼性が高いものの、「物件ごとの個別事情」があるので、個別事情に応じた分析が必要です。

 

取引利回りで考慮する「物件ごとの個別事情」の例を挙げておきますが、上級者向けの内容なので、興味がなければ、サクッと読み飛ばしてください。

 

ここから↓は上級者向けなので、僕は読みません!

 

IPO・POの買い手の資金繰り


IPO・POはブリッジファンドなどを使って事前に市場から仕込み済みの物件なので、取引利回りには「時間的なずれ」、「価格のずれ」が生じるので注意が必要です。

 

買い手の資産規模


買い手の資産規模が小さい場合、規模を増やすために物件取得に積極的になってる可能性があるため、利回りを下げる要因になることがあります。

 

NOI利回りかNCF利回りか

 

公表される取引利回りにはNOI利回り、NCF利回りのいずれの場合もあるので注意が必要です。

 

NCF利回りは資本的支出、一時金の運用益まで考慮するため、より正確性が増し、NOI利回りより0.2~0.3%低くなります。

 

アクチュアル(実績に対する)利回りか、想定利回りか

 

将来的な賃料上昇・下落を前提とした利回りか否かにより、利回り水準が異なります。

 

各プレイヤーの投資方針や投資目線

 

例えば第3者取引は、不動産市況により価格にブレが生じますし、複数物件まとめての取引(バルク)ならば、一つ一つの取引利回りの正確性は欠けます。

 

その他、オープンな取引の方が価格が高くなる(利回りが低くなる)傾向にあり、スポンサー取引は価格は安定する(利回りが安定する)傾向があります。

 

期待利回り

 

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期待利回りは、投資家が期待する利回りです。

 

CREALのファンドを例に挙げると「想定利回り」となっています。一般的な不動産投資型クラウドファンディングで提示される利回りは、この期待利回りです。

 

あくまで投資家が「買ってもいいな」と期待する利回りなので、実際の取引利回りよりも高くなる傾向にあります(ケースバイケースですが)。

 

実際の取引では期待利回りでは取引できないことも多いので、期待利回りは参考程度としてくださいね。

 

実際の不動産市場では、期待利回りは「利回りの方向感」を認識するために活用することが多いです。

 

CREALの期待利回りをのぞいてみる 

 

鑑定利回り

 

不動産鑑定士が不動産鑑定評価で用いる直接還元法の還元利回りを表すことが多いです。

 

CREALでは森井鑑定の不動産鑑定評価書概要に記載されてる利回りですね。これも会員限定情報です。

 

不動産鑑定士、アセットマネージャー、レンダーなど、投資用不動産の市場関係者には、鑑定利回りが重要な指標になっています。

 

2019年現在の傾向としては、

 

期待利回り>取引利回り≧鑑定利回り

 

となることが増えてます(ケースバイケースです)。

 

鑑定利回りの注意点を挙げておきますが、上級者向けなのでサクッと読み飛ばしてもらってもかまいません。

 

ここから↓は上級者向けなので、僕は読みません!

 

鑑定利回りの注意点

 

  • NOI利回りではなく、NCF利回りが一般的。
  • 取引利回りや期待利回りは鑑定利回りを査定する際の参考になる。
  • 鑑定会社により、鑑定利回りの判断は異なるので注意。
  • 2019年では鑑定評価額の方が、実際に購入した金額より高くなることが多い。
  • CFを加味した利回りか、CFを加味しない利回りかを判断すること。
  • 直接還元法のNCF利回りはCFを加味しない利回り。
  • 直接還元法のNCF利回りだけが独り歩きする傾向にあるので、本来であればDCF利回り(割引率、最終還元利回り)も考慮すべき。

 

 

その他、不動産利回りと金融市場の関係は、こちらの記事で書いてますので、ご参考までに。

 

【超わかりやすい不動産の授業】投資用不動産と金融市場との関係

 

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