現在、絶賛進行中のmaneoによる総額20億円の大量遅滞。その原因に担保不動産の評価ミスがありました。
遅滞案件に含まれた投資家に対しては、maneoより11月1日、6日にメールで状況報告がありましたが、メールを読んでも 担保不動産の評価をmaneoがどのように行っているか読み取れません。
仕方がないのでmaneoに直接メールで質問してみました。以下は会話形式にしていますが、メールの回答を原文のまま掲載しています。
maneoからのメール説明によると 担保物件は「第3者の担保不動産の買取希望価格」、 「融資先の不動産評価システムによる担保評価」 を参考に評価したとあります。
融資先の不動産評価システムって何でしょうか?
不動産評価システムはTAS評価というものを採用致しております。
(...タス?)
第3者の担保不動産の買取希望価格とは具体的にどのようなものですか?
複数の売却先候補者からのヒアリング結果を踏まえ、担保物件の評価(業者買取価格)を算定しました。複数の売却先候補からのヒアリングの段階においては、単独判断ではなく、複数人の営業担当者も含めて価格評価を致しました。
複数の視点から評価したのは分かりました。担保不動産の評価は正常価格として第3機関の不動産鑑定士にご依頼されてますか?
不動産鑑定評価書も適宜取得致しますが、融資先では売却時の実効性という観点からの実際に購入を検討できるであろう事業者に対する売却査定、聞き込みなども参考とし、担当者各自が持ち合い、評価基準を策定いたしております。
maneo内部の担保不動産の評価体制について教えて下さい。
maneo社につきましても、融資先から提供を受けた評価額については妥当との判断し、融資をしております。
おそらく今回の件では問い合わせに対するマニュアルがあるのでしょう。マニュアルどおりの回答で、いまいち質問と回答がかみあっていません。
TAS評価って?
本文中の「TAS評価」とは後々調べてみると不動産鑑定を簡易に行うシステムで、トヨタグループの株式会社タスが提供しているサービスです。必要事項を入力することにより収益不動産の評価が数千円の料金で、しかも3分で完結するそうです。
「数千円で3分て!」
一応、不動産鑑定士としてつっこんでおきました。
本来、収益用不動産の鑑定評価は不動産鑑定士が行うと、案件や業者によりピンキリですがどんなに報酬が安くても新規で50~100万円、調査時間もどんなにがんばっても価格を提示するまで2週間(納品はどんなに急いでも1か月)はかかります。
収益用不動産は不動産鑑定評価基準の趣旨である投資家保護の観点から非常に精緻な評価が求められるため、不動産鑑定士側の作業負担も大きくなります。このため、依頼者側にも安くない報酬体系とタイトにならないスケジュール感が求められます。
3分でできる数千円の簡易査定とはいささか驚きました。
まとめると
maneoからの回答をまとめます。
- 担保物件の価格は融資先の複数の営業担当者の判断で決めている。
- 担保物件の価格はTAS評価という簡易評価を参考にしている。
- 今回は不動産鑑定士が担保物件の評価を行っていない。
- maneoの内部の具体的な評価体制については教えてもらえなかった。
本件遅滞案件が早期に投資家へ分配、償還されることを願いつつ、しばらくmaneoへの新規投資は控えた方がよいですね。私も290万円と少なくない金額をmaneoで運用していますが、配分を減らていく方針です。