不動産投資サイトや不動産業者に煽られて「ありえない金額」で不動産投資をしてしまうと、そこで試合終了です。
今回は「今は不動産投資をするべきてはない」理由を解説しました。
表面利回りが10%を切っている
不動産価格は局所的には高騰しており、その波が地方にも押し寄せています。
収益不動産サイト楽待によると、平成30年7月時点における千葉県内の一棟アパートの平均表面利回りは「9.87%」だそうです。
10%もいかないんですね......。
不動産を購入した場合、購入時に登記費用や取得税、仲介手数料、リフォーム費用などが必要なほか、これとは別に毎年かかる費用として、土地・建物の税金、保険料、募集費用、維持管理費、修繕費なども必要になるので、純利回りは更に低くなります。
物件毎の個別性によりますが、表面利回り10%で購入した場合、築古物件は経費率が高いので経費率を30~40%と仮定すれば、純利回りは6~7%となります。
銀行からの融資を受けて購入した場合、ここからさらに借入金利が差し引かれます。例えば3%の金利で借りたのならば、純利回りは3~4%まで下がります。
「高利回りが期待できる地方都市でさえ」この低利回りです。
ファンドバブル期の水準と同レベルまで利回りが下がっています。
これが東京だったなら、利回りはマイナスになるのでは??
東京都心の一部のエリアでは期待利回りは底を打ったようですが、既にファンドバブル期よりも低い期待利回りとなっているエリアもあります。
不動産という難しいリスク資産を購入するのに対し、これではあまりにも利回りが低すぎます。不動産初心者が不動産サイト情報を鵜呑みにして高い価格で物件を買ってしまうと、もう次がありません。
不動産投資は売り手市場
ここまで利回りが下がっている中、今は個人でも不動産投資がブームということもあり、表面利回り13~15%の物件が出れば、物件情報はネットで公表されるのでその地域をよく知らない人も飛びつき、すぐに売れてしまいます。
築古物件でもそれなりに高く売れるので、今は売り手市場にあり、売主側が強気で物件価格が下がりません。
売主側の気持ちになると、物件は築年数が経過すると賃料や稼働率がどんどん下がってくるので、「今の売り手市場の時期に売り切りたい」と思うはずです。
この「売り手市場」の時期にムリをして高い価格で物件を買ってしまうと、この先、買い手市場が来て、本当に良い物件を買いたくなったときに自己資金がなく、買えなくなってしまいます。
不動産投資情報サイトのコラムで、 「不動産投資で成功した!」と不動産投資を促し、買い煽りをしているのは、この10年間で投資してきた人たちであり、物件価格が高騰しているこの時期に不動産を売りたい人たちです。
比較的安く物件を購入できたであろう先行者の情報は、あくまで今と時代が違うことを念頭におくべきです。参考にならないどころか、害悪になることもあるので......。
ネットや不動産業者に煽られて「ありえない金額」で不動産投資をすると次につながらないので、そこで終わってしまいます。
不動産投資規制強化の始まり
これまでは銀行からの融資が付きやすかったため、素人でもそれなりに物件を買い進めることができました。
ただし、今後はスルガ銀行の不正融資や昨今の投資用不動産ブームの過熱化を懸念し、金融庁からの通達により、投資家への融資審査が厳しくなる可能性が強まっています。
金融庁はスルガ銀行に対し、新規の投資用不動産融資を対象とした6カ月間の業務停止命令を出した。
本来、地方ならではの多少のリスクがあってもイールドギャップ(投資利回りと長期金利との差のこと)が高い物件の組み合わせて、それらを運用する結果として、価格差を享受することができましたが、「需要の競合に伴う利回り低下」や「金融機関の融資規制」でそれも難しくなります。
これに加えて、不動産投資マーケットは「将来的な利上げ」の不安もあります。通常、株高の次の施策には利上げが想定されます。
今は一部の地域ではファンドバブル期と同じくらいに地価が高騰しています。
過去にファンドバブルがはじけたように、国の規制により一気に投資家が撤退し、不動産投資ブームは終息する可能性も否定できません。
地価高騰と不動産投資の過熱化・終焉を書いた記事はこちら。
不動産投資は収益価格で考える
不動産投資は収益価格で考えることが大切です。
投資家は、不動産を使用することによる効用を基にした「需要者価格=収益価格」から物件価値を判断するのですが、売手はその不動産の相対的希少性を基にした「供給者価格=積算価格」をベースに値付けしています。
グレードの高いピカピカの新築物件など、証券化の対象となるような収益用不動産であれば、収益価格が積算価格より高くなることもありますが、築古物件であれば、積算価格が収益価格より高くなることの方が多くなります。
物件を購入する時は、積算価格ではなく収益価格で考えましょう(収益価格=物件価格)。
収益価格はざっくり言うと、「収益価格=家賃収入÷利回り」なので、この式を変形すると「利回り=家賃収入÷収益価格」となります。
通常、分子である家賃収入は時間の経過とともに下がりますが、分母である収益価格)は家賃収入の下落以上に下がるため(賃料の遅効性)、時間の経過とともに利回りは高くなっていきます。
ただし、昨今の物件価格を見ていると、利回りが高くあってしかるべきなのに、需要が高いため収益価格が下がらず、利回りが低いままとなっています。
本来の物件の価値(家賃収入など)ではないのに、ただブームだからと需要が競合し物件価格が高くなっているので、このような利回りが低い時期に物件を購入すると「ポイント1」のような状態になり、そこで全てが終わります。
不動産投資は収益価格で考えるので、「積算価格で買わないこと」と「利回りを確保すること」が重要です。
ソーシャルレンディングで不動産投資
ぼくも実物資産にも不動産投資をしようと、キャッシュで買えるだけの現金1,000万円を準備し、今年の5月頃から不動産屋へ通って物件を探していましたが、今は需給が逼迫して物件価格が高くなりすぎです。
今は実物資産は買ってはいけない時期です。
不動産投資をするのであればソーシャルレンディングなどを利用するという選択肢もあります。
例えば、実物不動産を購入したしても純利回り6~7%(借入金利考慮後は3~4%)なのに対して、ソーシャルレンディングを使った不動産投資でも6~7%の純利回りが確保できます。
しかもソーシャルレンディングであれば実物不動産のように管理の手間もかかりません。もちろん、デフォルトリスクなど、ソーシャルレンディングならではのリスクもしっかり考慮する必要はありますが。
ぼくは1年1カ月間、ソーシャルレンディングに投資していますが、今のところ利回りは6~7%ですね。
今後は実物資産用に用意した現金を徐々にソーシャルレンディングに振り分け、ソーシャルレンディングだけで1,000万円まで投資額を増やしていこうかなと。
<トッティのソーシャルレンディング概算投資額(2018年10月時点)>
- クラウドバンク 250万円
- マネオ 300万円
- OwnersBook 50万円
- クラウドクレジット 50万円
- SBIソーシャルレンディング 20万円
- 合計 670万円(利回り6~7%)
不動産への投資ができるソーシャルレンディングとして、クラウドバンク、OwnersBook、maneo、SBIソーシャルレンディングなどがありますが、上場企業が運営し、不動産鑑定士が投資物件を精査しているクラウドファンディングの不動産投資、OwnersBook がサイトが使いやすく、安心・信頼感があります。
その他、 クラウドバンクも大手が運営していて安心感があり、画面も見やすく、投資先も国内や海外の不動産、バイオ環境系のほか、外貨投資もできます。
クラウドバンクで通貨分散ができることを書いた記事はこちら。
ソーシャルレンディングは現金や銀行預金よりリスクがあり、ミドルリスク・ミドルリターンですが、今の時期の実物資産への不動産投資や株式投資よりは投資初心者が失敗する可能性は低いと思います。
まとめ
不動産価格はおそらくピークに近く、不動産投資で失敗するとすれば、この物件価格が高騰している今の時期に物件を購入することです。
この先、人口減少、高齢化が進み、不動産価格も転換期が訪れます。
不動産投資にはブームの波もあり、今の上がりきった価格は、近い将来下がってくるはずです。
例えばボロ物件だと「物件価格が下がるところまで下がった状態(≒土地価格)で購入すれば、土地価格が下落していかない限り、物件価格が下がることはないですよ」というのが不動産業者の売り文句だったりしますが、その土地価格も一部地域ではピークに近く、今後は下落局面が予想されます。
本当の田舎では土地価格は上昇さえせずに、下落が続いています。
もちろん、相続やコネを通じてよい物件に出会えることもあると思いますが、そのようなケースは別にして、この時期に、誰もが使っている不動産情報サイトで検索して実物不動産を購入すると、後悔する可能性の方が高いと思います。
「今は不動産投資は控え、次の波に備えるため貯金をするか、別の投資先を探した方がいい」というのが結論です。
退場さえしなければチャンスはあると信じて、今日も生きてます。