不動産投資型クラウドファンディング(以下、不動産クラファン)であるFANTAS fundingの期待利回りは8%~10%です。
「ちょっと利回り高くない?それになぜ中古マンションも空き家も一律8%なの?」って思ったことありませんか?
今回の記事では、
- ファンタスが高利回りの理由
- 利回りを一律とすることによる弊害
- ファンタスへの提言
についてまとめました。
ファンタスファンディングが高利回りの理由
ファンタスファンディングの利回り(分配率)は、中古区分所有は8%、空き家も8%(ただし空き家は10%の場合もあり)です。
空き家が高利回りになる理由は分かります。リスクが高いですから。ただ、リスクの低い区分所有が高利回りになるのはちょっと変ですよね。
この高利回りには2つの側面からの理由があります。
経営目線の理由
ファンタスファンディングはサービスが始まって間もないため、プロモーション目的の一環で一律的に高利回りとしている、という理由。
また、高利回りを売りに不動産クラファンに興味を持たせ、実物不動産(区分所有マンション)への投資へ誘導する、という理由もあるでしょう。
ファンタスファンディングで慣らしておいて、「できる!」と感じたら実際に物件を購入するのね。
不動産の実務家目線の理由
ファンタスファンディングのビジネスモデルは、低コストで物件を取得し、バリューアップのうえ運用・売却し、その差分が投資家と運営しているファンタステクノロジーの利益になる、というものです。
この場合、利回り(Capレート)を最初から上げておくと(つまり物件価値を低く見積もっておくと)、売却段階で売りやすい、というメリットがあります。
「利回り=賃料÷物件価格」なので、分母の物件価格が下がると利回りが上がる、という関係だったね。
全て一理あり、運営のファンタステクノロジーの判断は合理的だと思います。
ただし、投資家側は物件ごとに個別の利回りではなく、一律の利回りとなっていることによる弊害もあります。
利回りを一律とすることによる弊害
不動産の特性として、「個別性」というものがあります。
不動産豆知識「不動産の特性」
自然的特性として、地理的位置の固定性、不動性(非移動性)、永続性(不変性)、不増性、個別性(非同質性、非代替性)等を有し、固定的であって硬直的である。
引用:不動産鑑定評価基準より
せっかく投資対象が「世界に一つしかない個別の不動産」なので、利回りも各物件に適した利回りにして欲しいと思いませんか?
不動産クラファンの利回りが意味するところは、投資家への分配率のみならず、収益物件の評価額にも直接影響する還元利回り(Capレート)にも関係しています。
投資用不動産を扱う実務現場では、相対的に他物件との比較が可能な指標であるCapレートやIRR(内部収益率)を共通言語として話が進みます。
CapレートもIRRも利回りの一種。不動産の評価を進める上で重要な指標だよね~。
不動産豆知識「IRR」
内部収益率。投資によって得られると見込まれる利回りと、本来得るべき利回りを比較し、その大小により判断する手法のこと。IRRとは、投資プロジェクトの正味現在価値がゼロとなる割引率のことをいう。
引用:ウィキペディア
8%という運営のファンタステクノロジー側で「調整された利回り」は、少なくとも「一般経済市場で成立するであろう市場価格(利回り)」ではありません。
利回りについてはコチラ(↓)の記事でまとめてますので、よかったら読んでみて下さい。
物件を投資家が精査するのは利回りも含めて
できれば利回りも含めて投資物件を精査したいのに(それが不動産クラファンの最大のメリットであるはずなのに)、本来の利回りが不明では投資物件を精査する意味が薄れてしまいます。
例えば、同じ不動産クラファンのCREALは、物件ごとに個別の利回りがありますよね。投資対象を投資家側で精査するとは「利回りも含めて」だと思うのです。
空き家であっても中古マンションであっても、ファンタスファンディングは収益物件としてのインカムゲインと、出口戦略としてのキャピタルゲインまで検討のうえ、仕入れ価格を決めています。
対象不動産は投資物件として運用・売却するので、ファンタスファンディングでも物件の収益価格、つまり、利回りも査定しているはず。それを投資家にも公開してもらえるとうれしいのですが.....。
そうすれば中古区分マンションなら利回り4~6%程度、空き家なら10%以上でも変ではないよね。
ファンタスファンディングは下記のとおり、「適正価格で物件を取得している」とあるので「適正価格で取得した物件がどうして8%の利回りになるのか?」という途中の説明が欲しいのです。
空き家以外にも、ワンルーム価格査定サイト「FANTAS check」にて、当社が適正価格で買い取った中古ワンルームマンションのファンド化も行います。
引用:FANTAS funding公式ページより
不動産を専門に仕事している人が、利回りが気になるのは職業病.....。
まとめ
運営のファンタステクノロジーにも経営戦略があるでしょうし、当面は一律の利回りでも仕方がないと思います。あえて高利回りでリスクを取りたい投資家もいるでしょう。
ですが、個人的にはゆくゆくは本来の物件価値を示す利回りで投資家を募って欲しいと思います。
僕はファンタスファンディングをディスってるわけではありません。むしろ真逆です。好きです。好きだからこそです。
不動産クラファンとファンタスファンディングの未来に期待しています。
※クラウドファンディングは、元本を保証する商品ではありません。”必ずご自分で”納得するまで調べ、リスクを許容した上で、投資してください。